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霧ヶ峰ススキ草地は、ススキの生育限界に近い高標高地に成立しており、ススキの種子生産は、数年に一度のなり年にしか見られない。また、その実生の定着更新にはハタネズミによるリターの撹乱が不可欠である。加えて、ハタネズミは、栄養繁殖によるススキ茎数の増加も抑制している。
我が国における主要な在来飼料植物であるススキは、採草や放牧に利用されてきたが、この草地を維持管理するために不可欠なススキの種子更新や栄養繁殖に関する研究は少い。霧ヶ峰ススキ草地は、生育限界に近い高標高地にあり、主要な分布域とは違った特性があると考えられ、草地を維持管理していく上でススキの更新を明らかにする必要がある。
以上のことから、霧ヶ峰ススキ草地では、ススキの種子生産はまれな現象であり、その後の定着・更新には、ハタネズミの営巣活動によるリターの撹乱が不可欠であること、また、栄養繁殖による茎数の増加もハタネズミの採食によって抑制されていることから、霧ヶ峰ススキ草地でのススキは、ほぼ定常状態にあると言える。