近赤外分析法による配合飼料中に含まれる肉骨粉の定量
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要約
近赤外分析法は、配合飼料中に含まれる肉骨粉の含有率を1%程度の精度で、迅速にしかも簡易に定量することが可能であり、配合飼料中の肉骨粉含有識別の検出法として有効である。
- キーワード:近赤外分析法、配合飼料、肉骨粉
- 担当:畜産草地研・畜産環境部・排泄物制御研究室
- 連絡先:0298-38-8667
- 区分:畜産草地
- 分類:行政・参考
背景・ねらい
我が国における乳牛の牛海綿状脳症(BSE)の発生に伴い、配合飼料への肉骨粉の使用が法的に禁止されている。配合飼料中に混入した肉骨粉の定量及び識別は多種の方法で試みられているが、迅速で簡易な手法はまだ確立されていない。そこで近赤外分析法(NIRS)により配合飼料中に混入した肉骨粉を迅速に定量する手法の開発を試みる。
成果の内容・特徴
- 8種類の配合飼料(牛用:2種類、豚用:3種類、鶏用:3種類)に2種類の肉骨粉をそれぞれ0.15~ 5.0%の割合で混合した試料 144 点(検量線作成用89点、検量線検定用55点)を近赤外分析に供試した。近赤外分析(機種:NIRSystems model 6500)は、0.5mmメッシュを通過させた粒度の試料をStandard Cellに詰め、400~2500nmの領域について反射スペクトルを測定した。得られた近赤外スペクトルは二次微分処理し、重回帰分析法(MLR)およびPLS(Partial Least Squares)回帰分析法により検量線を作成した。作成した検量線を用いて検量線検定用試料の含有率を推定し、含有率と近赤外分析値との相関係数、標準誤差(SEP)およびRPD法(SD/SEP)から分析精度を判定した。
- 畜種別配合飼料およびすべての畜種の配合飼料を対象とした試料群において、MLRおよびPLSにおける推定精度は,含有率と近赤外分析値との相関係数(r)がそれぞれ0.962~0.986、0.982~0.999、回帰推定からの標準誤差(SEP)が0.28~0.44、0.05~0.27(表1,2、図1)であった。分析精度の信頼性を判定するRPD値についてみると、MLRが3.61~5.83、PLSが5.25~25.66であり、PLSの方が高い分析精度を示した。以上のことから配合飼料中に含まれる肉骨粉の含有率を1%程度の精度で定量できることが示された。
成果の活用面・留意点
- 配合飼料中の肉骨粉含有識別のためのスクリーニングに有効である。
- 畜種別の配合飼料に限定すれば肉骨粉含量は、より高い精度で分析が可能である。
- 配合飼料には多種の原料が使われていることから、粉砕粒度を0.5mmで統一し、サンプリング誤差を生じさせないように留意する。
- 各畜種の配合飼料は、多種のものが市販されているので、さらなるデータの蓄積が必要である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:近赤外分析による飼料中の動物由来飼料原料の検出法の開発
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2001~2002年度
- 研究担当者:甘利雅拡、高田良三、松本光人