稲発酵粗飼料調製用乳酸菌「畜草1号」製剤の開発

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要約

新しく開発された乳酸菌「畜草1号」の凍結乾燥製剤は水溶性粉末タイプであり、低温条件下で長期保存しても菌の活性は高い。東北と関東地域で実施した実証試験の結果、畜草1号製剤の添加によって高品質な稲発酵粗飼料が調製できる。

  • キーワード:乳酸菌製剤、畜草1号、稲発酵粗飼料、飼料利用
  • 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・飼料調製研究室
  • 連絡先:電話0287-37-7804、電子メールcai@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

近年、稲発酵粗飼料の生産は遊休水田の有効活用、飼料自給率の向上、水田機能の維持や資源循環型農業畜産の推進等の観点から、普及に向けた取り組みが積極的に推進されている。高品質な稲発酵粗飼料の調製・貯蔵技術の開発が極めて重要である。そこで、高品質な飼料稲発酵粗飼料を調製できる乳酸菌製剤を開発する。

成果の内容・特徴

  • 乳酸菌畜草1号(ラクトバチルス・プランタラム)製剤は粒度0.5mmの凍結粉末であり、ラミネート袋に小分けして密封すると低温条件下で長期保存できる(写真1)。
  • この製剤は水溶性で噴霧できるタイプで、調製現場での添加量が少なく、使用方法も簡単である。添加水準は飼料イネ新鮮材料草1トン当たり5gであり、水道水で溶かして添加すると、20個分のロール調製のための準備時間は5分程度である。
  • 畜草1号製剤の生菌数が1g当たり2.0x1010であり、6カ月間の冷蔵(5℃)保存でも、生菌数の低減が見られない(表1)。
  • 青森県、埼玉県および千葉県内で実証試験を行った結果、畜草1号製剤を添加したサイレージでは、無添加サイレージと比べ、pH値、酪酸含量およびアンモニア態窒素含量が低下し、乳酸含量や品質評点V-スコア-が高まり、異なる品種や地域で良質な稲発酵粗飼料が調製される(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 新規乳酸菌製剤として高品質な稲発酵粗飼料の調製に活用できる。
  • 乳酸菌添加剤は5℃以下で保存する。開封後は菌数が低下しやすいので、原則として使い切るのが望ましい。

具体的データ

写真1. 畜草1号製剤の凍結乾燥粉末

表1.保存期間における畜草1号製剤の生菌数

 

表2.稲発酵粗飼料の発酵品質

その他

  • 研究課題名:飼料イネサイレージの品質改善技術の開発
  • 予算区分:21世紀3系
  • 研究期間:2002~2005年度
  • 研究担当者:蔡 義民、藤田泰仁、徐春城、村井 勝、吉田宣夫(埼玉県農林総合研究センター)、
                      北村 亨(雪印種苗(株))、三浦俊治(雪印種苗(株))、田中秀俊(雪印種苗(株))
  • 発表論文等:1)蔡義民 (2002) 土と微生物 56:75-83.
                      2)蔡義民ら(2002) 特許願2002年第202215号.