インターフェロンτ添加はウシ体外培養胚の胚盤胞への発生率を高める
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要約
体外受精後5日目に組換えインターフェロンτを加えることで、ウシ体外成熟・受精胚の胚盤胞への発生率が有意に増加する。
- キーワード:家畜育種・繁殖、インターフェロンτ、ウシ胚、体外培養、発生率
- 担当:畜産草地研・家畜育種繁殖部・受胎機構研究室、上席研究官(繁殖担当)
- 連絡先:電話029-838-8637、電子メールorca@affrc.go.jp
- 区分:畜産草地
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
反芻家畜では妊娠初期、着床前の胚より分泌されるインターフェロン(IFN)τが妊娠認識に主要な役割を果たすと考えられている。これまで黄体退行阻止作用などIFNτが母体へ及ぼす作用についての知見はあるものの、胚自身の発生に及ぼす作用は不明である。
そこでIFNτがウシ体外受精胚の発生に及ぼす影響について検討する 。
成果の内容・特徴
- と場より採材したウシ卵巣由来の未成熟卵子を用いて体外成熟・受精を行い、気相・培養液が異なる条件の体外培養系を用いて発生培養を行う。Day5(体外受精をDay=0とする)より組換えウシインターフェロンτ(rbIFNτ)0,100,150あるいは200 ng/mlを添加し、無血清培地で培養を行う。胚盤胞への発生率は、rbIFNτ 100あるいは150 ng/mlを添加した場合に無添加に比べて有意に高まる(図1A,B、図2)。
成果の活用面・留意点
- 体外培養における体外操作胚などの胚盤胞への発生率向上が期待できる。
- rbIFNτは発現系により有効濃度が異なるため、用いる発現系ごとに至適濃度を設定する必要がある。
具体的データ



その他
- 研究課題名:妊娠初期の子宮内膜に及ぼすサイトカインの影響、
ウシの妊娠認識に関わるシグナル物質の作用機構の解明
- 予算区分:サイトカイン、交付金
- 研究期間:1997~2002年度
- 研究担当者:高橋ひとみ、高橋昌志、下司雅也、岡野彰
- 発表論文等:特開2002-186478「インターフェロンを用いた胚の培養法」.