堆肥の乾物分解率が生産現場において簡便に推定できる
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要約
堆肥化処理施設における堆肥の乾物分解率は、堆肥材料と堆肥の灰分含量を比較することによって推定できる。推定に必要な灰分含量は、乾燥した材料を電気ヒータで灰化することによって簡便に測定できる。
- キーワード:簡易診断、乾物分解率、堆肥化施設、畜産環境、農業施設、灰分含量
- 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・資源循環研究チーム
- 連絡先:電話0287-37-7004、電子メールmikio@affrc.go.jp
- 区分:畜産草地
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
持続型農業を目指す持続型農業促進法などの環境三法が公布され、家畜排泄物の適正な管理と有効利用による持続的な農業生産方式の確立が今日的な課題になっている。家畜排泄物の適正な管理を実現するためには、堆肥化施設において家畜排泄物の適切な分解が進行しているかを有機物の分解率から診断する必要があるが、有機物の分解の程度を生産現場で実測することは難しい。そこで、有機物分解率のかわりに、灰分含量を指標として堆肥の乾物分解率を生産現場で簡便に推定する方法を開発する 。
成果の内容・特徴
- 堆肥化処理過程において灰分が分解されないことを利用して、(1)式により推定した堆肥化過程における乾物の分解率は、堆肥化処理前後の乾物量の差から算出した乾物分解率と強い相関(r=0.916)が認められ、灰分含量の変化から乾物分解率が推定できる(図1)。
Y = (1 ― a/X) × 100 (1)
Y:乾物分解率(%)、X:堆肥の灰分含量(%DM) 、a:堆肥材料の灰分含量(%DM)。
- 堆肥材料や堆肥に含まれる灰分含量は、一般的にマッフル炉による標準法(600℃、2時間)によって求められるが、現場で使いやすい電気ヒータ(600W)、精度0.1gの秤およびアルミバットを用いた簡易法(図2)によって求めることができる(図3)。この条件で推定の精度を確保するには、分析サンプル重は10g程度が適当で、分析サンプルはできるだけ多くの点から採取し、均一な試料を作成する。
成果の活用面・留意点
- 堆肥化施設の適切な管理が行われているかどうかを簡便に診断できる。
- れき汁などによって灰分の損失が発生する場合には、推定の精度が低くなる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:資源循環を基本とする乳牛の群飼養管理における物質循環の解明
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2001~2003
- 研究担当者:加茂幹男、張 建国、阿部佳之、河本英憲、青木康浩