近赤外分析法による飼料イネの飼料成分および栄養価の推定

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要約

近赤外分析法において、PLS回帰分析法によって作成した検量線を用いると、飼料イネの化学成分や栄養価を迅速にかつ簡易に、実用的な精度で推定できる。

  • キーワード:飼料イネ、近赤外分析法(NIRS)、化学成分、可消化養分総量(TDN)、飼料利用
  • 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・飼料調製研究室
  • 連絡先:電話0287-37-7804、電子メール mmurai@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

水田の作物生産力を活用した自給飼料生産の拡大に向け、飼料イネの導入・普及が進展しつつある。そのため、トウモロコシ並みの可消化養分総量(TDN)収量を目指した品種育成、省力的かつ低コストな生産技術および新しい調製・給与技術の開発等、が進められており、化学成分や栄養価の迅速判定法の開発が期待されている。また実際の牛への給与においても、栄養価の簡易かつ迅速な推定法が求められている。そこで、近赤外分析法(NIRS)によっての飼料イネの飼料成分および栄養価測定法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 東北~九州で栽培された飼料イネ(籾及び茎葉を含めたホールクロップ乾燥物)試料151点(2000年~2002年の3年間に採取)を化学分析する。この内、近赤外分析の検量線作成用として91点、検量線検定用として60点を供試する。
  • 検量線作成に用いた飼料イネの化学分析値の範囲は、粗タンパク質(CP)3.8~12.0%、粗灰分(CA)8.5~15.9%であり、TDN値は55.0~63.2%の範囲である(表1)。
  • 近赤外分析法によるCP、CA、細胞壁物質(OCW)、細胞内容物(OCC)、Oa(高消化性繊維)+OCC、TDN値の推定では、化学分析値とNIRS推定値との相関係数(r)が0.928~0.977であり、項目によって差があるもののいずれも高い精度が得られる(表1)。
  • 推定精度の信頼性においても上記成分は精度の高い「B」にランクされ、実用的な精度で推定できる(表1、図1・2)。

成果の活用面・留意点

  • 飼料イネの成分含量やTDN値の推定に活用できるとともに、本試料の標準サンプルとしての利用および検量線移設により、飼料分析センター等の機関において活用できる。
  • 標準サンプルは1999年~2001年の3年間に採取した試料によって構成されている。
  • TDN値推定に用いた回帰式については、今後のTDN実測値の蓄積により推定精度の高い回帰式等が提示されれば、変更する必要がある。

具体的データ

表1 PLS回帰分析における飼料イネ成分用検量線の検定効果

 

図1 CP含量における検量線の相関性

 

図2 TDN値における検量線の相関性

 

その他

  • 研究課題名:飼料イネサイレージの品質改善技術の開発
  • 予算区分:21世紀3系
  • 研究期間:2002~2005年度
  • 研究担当者:藤田泰仁、村井 勝、蔡 義民、甘利雅拡、小川増弘