無窓鶏舎内環境の清浄化に有効な換気システム

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要約

無窓鶏舎内のスリット型入気口が各ケージ前面上方2カ所とした改良型換気システムは、通路中央上方に入気口を設ける従来型換気システムに比べ、逆流と渦が少ない換気ができる。このため、細菌等が付着した粉塵の滞留が起こりにくい。

  • キーワード:畜産環境、畜舎内環境、粉塵、細菌、換気システム
  • 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・家畜管理工学研究室
  • 連絡先:電話029-838-8678、電子メールhichiki@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地、共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

鶏舎内で発生する細菌等が付着した粉塵は、畜体、作業者の呼吸器系の疾病の原因とされている。一方、サルモネラ等の病原体による畜体や生産物の汚染も問題となっており、畜舎内環境を清浄化する技術開発が早急に求められている。現在、様々な換気システムの無窓鶏舎が実用化されているが、それらの換気性能の評価に当たってケージ間の詳細な気流分布を発煙管や熱線風速計で評価することは困難である。
そこで、微粒子のレーザ反射画像で気流分布を測定するPIV(Particle Image Velocimetry、粒子画像流速測定法)による模型試験(幾何学縮尺:1/6)で評価を行い、舎内換気システムの改良を行う。

成果の内容・特徴

  • 改良型換気システムは、従来型換気システム(通路中央上方1カ所にスリット型入気口、側壁下方またはケージ下に排気口を配置)の入気口を各ケージ前面上方2カ所に、排気口を通路床面に配置するように改良したものである。
  • 従来型換気システムに見られる逆流(図1、図2)は、改良型換気システム(各ケージ前面上方にスリット型入気口を配置)では改善される。すなわち一様なダウンフローが得られ、従来型換気システムに比べ、換気性能が勝る(図3)。
  • 改良型換気システムのケージ前面での渦度は、PIVデータから計算した値で-0.77rad/sとなり、従来型換気システムの-4.34rad/sと比較して絶対値が小さく、従来型換気システムに比べ、浮遊物の滞留が起こりにくい。

成果の活用面・留意点

  • 新たに無窓鶏舎を建設する際、換気システム設計に資する。
  • PIV模型実験ではトレーサ粒子の大きさや濃度等を計測条件に応じて適切に設定する必要がある。

具体的データ

図1 従来型換気システム

 

図2 PIV による従来型換気システムの中段ケージ間気流速分布の可視化

 

図3 改良型換気システムによる逆流のない一様なダウンフロー

その他

  • 研究課題名:無窓採卵鶏舎における空気衛生環境を提供する換気構造と制御技術の開発
  • 予算区分:サルモネラ
  • 研究期間:1999~2001年度
  • 研究担当者:市来秀之、池口厚男、長谷川三喜、本田善文