夏冬年2作体系における夏作サイレージ用トウモロコシの収量性

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要約

サイレージ用トウモロコシの最近6年間(1997~2002年)における生育日数には平均で約10日、乾物収量には約0.5t/10aの年次変動がある。その中で、「ナスホマレ」等の品種は、茎葉部・雌穂部乾物収量の年次変動が少なく、収量性に優れる。また、最近開発・市販開始された品種は、従来の品種に比べて収量性で優る傾向にある。

  • キーワード:草地生産管理、サイレージ用トウモロコシ、生育日数、収量、品種選定
  • 担当:畜産草地研・飼料生産管理部・栽培生理研究室
  • 連絡先:電話0287-37-7802、電子メールyoyo@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

変動が大きい気象条件下での飼料作物生産においては、高い収量を確保するとともに、必要な量を安定して生産することが重要である。より安定した飼料作物生産に資するため、品種の改廃が著しいサイレージ用トウモロコシについて、夏作・冬作年2作飼料作物生産体系を想定した5月中旬播種における、収量性を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • サイレージ用トウモロコシの播種から収穫までの生育日数は、1997~2002年の全期間供試した41品種の平均で約111日で、年次変動はレンジの平均で約10日である。年次変動の少ない品種でも8日間、大きな品種では14日間の差がある(表1)。
  • 同様に乾物収量の平均は1.74t/10aであり、年次変動はレンジの平均で0.55t/10aである。年次変動の少ない品種では0.08t/10a、大きな品種では1.00t/10aの差がある(表1)。
  • 乾物収量の年次変動を茎葉部と雌穂部に分けて見ると、6年間の茎葉部及び雌穂部の乾物収量の標準偏差が41品種の平均より小さい品種は15品種あり(図1)、このうちの2品種、「ナスホマレ」と「3540」は茎葉部・雌穂部乾物重とも41品種の平均を上回り、収量性に優れる(図2)。
  • これら41品種をもとにして年次効果を補正して求めた、142全供試品種の生育期間及び茎葉部・雌穂部乾物収量の結果から、最近開発された公的育成品種や2000年以降に市販開始された品種計36品種の乾物収量は、平均で1.78t/10aであり、その他の従来の品種(104品種)の乾物収量の平均1.68t/10aに比べて優る傾向にある(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 一連のデータは同一条件で得られたサイレージ用トウモロコシ品種の収量性データであり、都府県が行うトウモロコシ品種選定において指標データとして活用できる。
  • 収量性には倒伏等の情報は含まれないため機械作業性等も加味した上での活用が必要である。また、夏作・冬作年2作生産体系を想定した5月中旬播種の結果であるので、異なる播種時期の収量性はこれとは異なる可能性があるので留意が必要である。

具体的データ

表1 最近6年間(1997~2002年)におけるサイレージ用トウモロコシの生育期間及び収量の変動

 

図1 全期間(1997~2002年)供試したサイレージ用ト ウモロコシ41品種の収量の安定性

 

図2 全期間(1997~2002年)供試したサイレージ用トウ モロコシ41品種の収量性

 

図3 全期間(1997~2002年)供試したサイレージ用トウモロコシ41品種の 成績をもとに年次効果を補正して求めた全供試142品種の生育日数と収量

その他

  • 研究課題名:飼料作物の栽培特性を利用した安定栽培法の開発
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:1997~2002年度
  • 研究担当者:吉村義則、黒川俊二