プラスチックスノコ式カーフハッチの特性

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要約

プラスチックスノコを全面に敷き、天板および背面上部が開閉できるカーフハッチを試作した。本ハッチは、清掃等の作業が容易で、かつ洗浄後の残存生菌数が少なく、暑熱期の通気性が高い。

  • キーワード:飼育管理、家畜衛生、乳牛、カーフハッチ、プラスチックスノコ
  • 担当:畜産草地研・放牧管理部・衛生管理研究室
  • 連絡先:電話0287-37-7239、電子メールhana@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

カーフハッチとは小型の簡易隔離牛舎で病原微生物の伝播防止効果が高いことから、疾病への抵抗力が弱い哺乳牛における有効な飼育施設である。本施設の使用後は十分に清掃、消毒および乾燥させて残存微生物数を少なくしてから、清浄な場所に移動して再利用するのが理想的であるが、十分な敷地のない農家では困難なため比較的容易に残存細菌の影響を軽減できるハッチが求められている。また、ハッチは天井が低いため哺乳、清掃、敷料交換、ボロ出し等の管理作業は中腰での作業となり体への負担が大きいことも問題点として指摘されている。そこでこれらの点を改良したカーフハッチを試作した。

成果の内容・特徴

  • 床は1辺45cmのプラスチックスノコ(板面の巾1.5cm。隙間間隔1.2×9.5cmと1.2×4.4cm)を高さ約10cmの固定板にはめ込むことで容易に組み立て、解体ができる(図1)。糞尿はスノコの下に落ちるため牛体の汚れは少なく、かつ洗浄後の残存生菌数が少なく伝染病の予防効果が期待できる。
  • カーフハッチ本体は平滑なFRP板で構成されており、従来の表面が凸凹のFRPハッチより洗浄後の残存生菌数が少ない(図2)。
  • 天板はストッパーにより約10度および60度の2段階開閉ができ、内部での立位による作業が可能である。また、暑熱期は天板および背面上部の窓を開放することより通気性が向上する(図1)。
  • 側面のスノコの下を約10cm開放可能とし、通気性向上による内部環境の改善と糞尿の乾燥が促進される。寒冷期にはゴム製スカートの取り付けにより、冷気の床下からの進入が防止できる。ハッチ内の温度環境は開放部が多いために従来のFRPハッチと比べて暑熱時にやや低い温度が維持できる。
  • 本ハッチと従来型ハッチの双方を使用した飼育試験を行なったが、いずれのハッチにおいても、蹄および消化器疾患の発生は認められなかった。本ハッチは敷料が不要であり、また糞尿も貯留中に乾燥するため、数週間毎に多く溜まった場所だけを除糞すればよく飼育管理が容易である。

成果の活用面・留意点

  • 管理作業が容易で伝染病予防効果の期待できるカーフハッチとして利用できる。あらかじめスノコの下に仕切板の間隔に合わせた板を敷いておき、落下した糞尿と一緒に引き出すことで容易に除糞できる。
  • 強風時には破損のおそれがあるので天板や開閉窓はしっかりと閉める。

具体的データ

図1:カーフハッチ試作品見取り図

 

図2:高圧洗浄後の残存生菌数

その他

  • 研究課題名:カーフハッチにおけるズーノーシス病原体の動態解明
  • 予算区分:行政対応特研(サルモネラ)
  • 研究期間:1999~2001年度
  • 研究担当者:花房泰子、仮屋喜弘、石崎 宏