黒毛和種はホルスタイン種よりも皮下脂肪のレプチン発現が高い

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要約

血中レプチン濃度および皮下脂肪組織中レプチンmRNA発現は、黒毛和種の方がホルスタイン種よりも高い。さらに、血中レプチン濃度と皮下脂肪におけるレプチンmRNA発現量には正の相関がある。

  • キーワード:家畜生理・栄養、肉用牛、レプチン、品種、脂肪蓄積
  • 担当:畜産草地研・家畜生理栄養部・栄養素配分調節研究室
  • 連絡先:電話029-838-8658、電子メールkawakita@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

レプチンは脂肪組織より分泌され、脂肪の蓄積に伴い血中濃度の上昇するホルモンであり、視床下部に作用して中枢性に食欲を抑制する。そこで、黒毛和種における血中レプチン濃度および脂肪組織中のレプチンmRNA発現量を調べ、成長速度や枝肉成績が異なるホルスタイン種と比較し、レプチンと脂肪蓄積能との関連について検討する。

成果の内容・特徴

  • と体における内臓脂肪割合および枝肉における脂肪割合は、黒毛和種とホルスタイン種との間に差は認められないが、皮下脂肪厚は黒毛和種の方が厚く、胸最長筋中粗脂肪含量も著しく多い(表1)。
  • 肥育期間を通して、血中レプチン濃度は黒毛和種の方がホルスタイン種よりも高い(図1)。また、脂肪組織中のレプチンmRNA発現は、皮下脂肪組織において、黒毛和種の方がホルスタイン種よりも有意に高い(図2)。これらは正の関係にあり、黒毛和種とホルスタイン種で同一の回帰直線を描く(図3)。
  • 黒毛和種のレプチン濃度がホルスタイン種と比較して高いのは、黒毛和種において皮下脂肪量が多く、さらに皮下脂肪のレプチンmRNA発現が高いことが原因の一部であると考えられる。

成果の活用面・留意点

  • 肉用牛における脂肪蓄積の研究に活用できる。

具体的データ

表1 黒毛和種、ホルスタイン種の増体およびと体成績

図1 血中レプチン濃度

 

図2 脂肪組織中のレプチン mRNA発現量

図3  皮下脂肪中のレプチンmR N A発現量と 血中レプチン濃度の相関

その他

  • 研究課題名:ウシレプチン遺伝子の栄養による発現調節機構の解明
  • 予算区分:動物ゲノム
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:東山由美、林征幸、甫立京子、阿部啓之(生物研)、寺田隆慶
  • 発表論文等:Higashiyama et al. (2003) Livestock Production Science 81:247-255.