乳牛の群飼養管理における窒素、リン、カリウムの循環実態

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要約

TDN自給率32%、日乳量29kgレベルの乳牛群(搾乳牛26頭、乾乳牛7頭)では1年間に摂取したN-P-Kの24-21-11%が生乳中に配分され、51-62-69%が糞尿中に排泄される。また、排泄された糞尿由来のN-P-Kの内、63-63-67%が圃場に還元され、糞尿由来Nは畑に施用するまでに約17%が揮散する。

  • キーワード:群飼養管理、自給飼料、畜産環境、乳牛、物質循環、糞尿
  • 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・資源循環研究チーム
  • 連絡先:電話0287-37-7004、電子メールmikio@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

家畜の飼養頭数の増大につれてフリーストール・ミルキングパーラ方式が普及する中で、飼料作面積の不足や不適切な糞尿処理による悪臭の発生や環境汚染などの問題が顕在化している。そのため、ふん尿の堆肥化施設とスラリー処理施設が併設されているフリーストール牛舎内と専用圃場に至るまでの物質収支を測定し、乳牛の群飼養管理におけるN-P-Kの循環量の実態を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 群飼養していた搾乳牛(平均体重627kg、採食乾物量25kg、日乳量31.5kg)では摂取したN-P-Kの26-22-15%が生乳に配分され、48-53-67%が糞尿として排泄される。乾乳牛(平均体重673kg)では摂取したN-P-Kの71-86-81%が糞尿として排泄される(表1)。
  • 搾乳牛1頭が1日に排出する生糞尿量は約62kgであり、N 280g、P 66g、K 242gがそれぞれ排泄され、乾乳牛では1頭が1日に排出する生糞尿量は約39kg、N 125g、P 34g、K 156gが排泄される(表1)。
  • 3年間を渡って測定した結果、 33頭の乳牛群(搾乳牛26頭、乾乳牛7頭、TDN自給率32%、搾乳牛日乳量29kg)が1年間に摂取したN-P-Kのうち、生乳に24-21-11%、糞尿に51-62-69%が配分される。排泄された糞尿由来のN-P-Kの63-63-67%が圃場に還元され、1haあたり糞尿由来Nは155kgである (図2)。
  • 堆肥化処理およびスラリー処理の2系統でふん尿処理を行なっている当施設では、牛舎内で排泄されたNは畑に施用するまで約17%が揮散する。

成果の活用面・留意点

  • 乳牛の群飼養管理における物質循環量の基礎的知見として活用できる。
  • 本成果は堆肥の一部が敷き料として利用されている条件での循環量である。

具体的データ

表1.1日あたり乳牛のN、P、Kの摂取量、排泄量および排泄率

 

図2.牛群管理実験棟ー圃場におけるN-P-Kの流れ

その他

  • 研究課題名:資源循環を基本とする乳牛の群飼養管理における物質循環の解明
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2001~2003
  • 研究担当者:加茂幹男、張 建国、青木康浩、河本英憲