ギニアグラスのアポミクシス遺伝子単離手法の開発
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要約
AFLP解析手法を用いて優性の単式遺伝子型のマーカーだけで、アポミクシス遺伝子の連鎖解析とBACライブラリーからの遺伝子単離を行うことができる。複雑な遺伝様式を示す同質四倍体のギニアグラスにおいてAFLPマーカーを利用することは有効である。
- キーワード:ギニアグラス、アポミクシス、遺伝子単離、AFLPマーカー、BACライブラリー
- 担当:畜産草地研・飼料作物開発部・育種資源研究室
- 連絡先:電話0287-37-7552、電子メールtriticum@affrc.go.jp
- 区分:畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
アポミクシス形質は従来のF1育種法や純系育種法を大きく進展させ、画期的な育種展開を可能とするため重要視されている。ギニアグラスのアポミクシス形質は1遺伝子に支配される優性の形質であることが示唆されていた。連鎖解析で優性1遺伝子であることが確認できれば、この遺伝子を単離することが可能である。AFLPによる優性の単式遺伝子型のマーカーのみの検索方法をとることによって、複雑な遺伝様式を排除し、遺伝子単離を試みることを目的とした。
成果の内容・特徴
- 71個体規模の予備的な連鎖解析集団を用いてAFLPによる連鎖解析を行った。アポミクシス形質は複数の連鎖マーカーとともに1遺伝子座として座乗していた(図1)。
- 花粉親がアポミクシスであることを利用して約1500個体規模の大規模解析集団を構築し、詳細な連鎖地図作製を作成した(図2、上段)。これにより、アポミクシス遺伝子座はM/A2-185からM/C6-44までの少なくとも0.6cMの4つのAFLP連鎖マーカーによって詳細な遺伝位置が特定された。
- BACライブラリーからAFLP連鎖マーカーを有するクローンを、直接AFLP解析によって選抜することが可能である(図3)。上記の4つのAFLP連鎖マーカーをもつ少なくとも9つのBACクローン(平均長120kb、計1080kb)を特定した(図2、下段)。
成果の活用面・留意点
- 本手法は、倍数体の種が多く、複雑な遺伝様式を示す牧草類からの優性1遺伝子を単離する手法として応用可能である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:「パーマネントハイブリッドにむけたギニアグラスアポミクシスの分子遺伝学的解析と遺伝子単離」
- 予算区分:パイオニア
- 研究期間:2000~2002年度
- 研究担当者:蝦名 真澄、中川 仁、霍田 真一、高原 学、小林 真
- 発表論文等:Ebina, M. and H. Nakagawa (2001)
"RAPD Analysis of Apomictic and Sexual line in Guineagrass (Panicum maximum Jacq.)"
Grassland Science 47:251-255.