放牧牛のバイトレートと採食時間からのバイト数の推定方法
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要約
放牧牛のバイト数は、直接観察では1人1 頭しか測定できないが、本報では1人で同時に複数頭の測定を可能にする方法を示す。
- キーワード:牛、永年草地・放牧、採食時間、バイト数、バイトレート、放牧飼養
- 担当:畜産草地研・山地畜産研究部・山地草地研究室
- 連絡先:電話0267-32-2356、電子メールmasah@affrc.go.jp
- 区分:畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
放牧牛のバイト数(草を噛みちぎる回数)は、牛の採食量を採食行動から推定する上で、重要な要素の1つである。しかし、直接観察では、同時に1人1頭しか測定できず、開発された測定機械もいくつかあるが、入手方法、値段、耐久性、精度など、一長一短があり普及するに至っていない。そこで、本報告では、1人で同時に複数頭のバイト数の測定を可能にする方法を示す。
成果の内容・特徴
- 直接観察では、牛が採食している間中、草をちぎる回数を数えるために1人で1頭しか測定できない。本方法では、採食時間とバイトレートを変数として回帰式によりバイト数を推定する(図1、図2、図3)。採食時間は1分毎に採食しているかどうかから推定する。1分当たりのバイトレートは、採食している間に15分間に1回、牛が頭を下げたままで20回草を噛みちぎる時間をストップウォッチなどで測定し、算出する。以上の方法で測定効率は高まり、牛は群で行動し連続して採食するので、1人で複数頭の測定が可能となる。
- 15分、1時間および採食期間(12-302分、平均86分)当たりのバイト数は、バイトレート(回/分)x採食時間(分)によって説明され、その精度は、測定時間が長くなるほど高まる(図1、図2、図3)。
- 測定時間が長い場合(7-15時間)には、採食時間の推定は15分毎の採食行動の測定で十分なことから、バイト数の推定はさらに省力化できる。すなわち、15分毎の採食行動と15分に1回のバイトレートの調査とこの回帰式により推定できる(図4)。
成果の活用面・留意点
- 活用例としては、測定時間が長い場合(7-15時間)には、毎時00、15、30、45分に牛の採食行動を確認し、15分以内で採食している牛のバイトレートの測定を行う。ほとんど見渡せる1.5haの草地で5頭の場合、観察者の休息も十分にとれる。
- 調査牛全体が見渡せない場合や、異なる草地にいる場合には、行動観察の時間を5分ずらすなどの方法があるが、草地面積や草地間の距離に、測定頭数は制限される。
- 黒毛和種育成牛で得られた式なので、他品種、特に成牛では回帰式が異なることも考えられる。
- バイトを数える時には、目と耳で確認する。片方の場合、噛みちぎりと咀嚼や探索との区別が付かない。頭を下げたままの探索や移動は、バイトが連続していると考える。
- 1採食期間は、10分以上連続した採食の期間とし、採食期の終了は、その他の行動が10分以上連続した場合とした。
具体的データ




その他
- 研究課題名:顎運動自動測定装置を利用した放牧牛の採食行動の推定
- 予算区分:交付金(所プロ)
- 研究期間:2001年度
- 研究担当者:東山雅一、手島茂樹、山口学