景観・水系保全に配慮した牧場設計システム
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要約
50mメッシュ標高値をもとにして、道路からの景観や水系の保全に配慮しつつ、地形に応じた採草地、放牧地、環境保全林の配置を検討できる設計システムを開発した。パソコン上で土地利用と景観を同時に評価できるため、牧場再編・整備計画に活用できる。
- キーワード:永年草地・放牧、草地計画・整備、景観、水系保全、設計システム
- 担当:畜産草地研・草地生態部・草地資源評価研究室
- 連絡先:電話0287-37-7246、電子メールsasaki@affrc.go.jp
- 区分:畜産草地
- 分類:行政・参考
背景・ねらい
飼料生産基盤の拡充のためには、地域の畜産振興に重要な役割を果たす公共牧場を活性化する必要がある。また今後の牧場の再編・整備にあたっては、地形を生かし、生産だけではなく景観・環境保全にも配慮した設計・施設配置が必要である。
そのため、草地資源の多面的機能に基づき、立地条件や利用目的等に応じた草地整備計画のための設計システムを開発する。
成果の内容・特徴
- はじめに、計画対象範囲を決定し、採草地と放牧地の傾斜上限を設定する。次に草地利用から除外して環境保全林とすべき水系からの距離を設定し、シミュレーションを実行すると、土地利用図が各土地利用面積とともに表示される(図2左)。
- 道路からの景観にも配慮する設定を選択すると、道路から150m以内で傾斜および水系による制限のない樹林を放牧地にして、見通しを確保する(図2右)。
- 指定した遠景地点を背景とする優れた眺望地点を可視草地面積、地形起伏度、土地利用多様度から検討する。
- 繰り返し検討した眺望地点は連番で図中に表示されるので、その中から任意の番号を選択し、景観シミュレーション画像で確認する(図3)。
成果の活用面・留意点
- 牧場設計者が景観や環境保全に配慮した再編・整備を実施する際の、事前評価ツールとして有効活用できる。
- マイクロソフトWindows98(R)以降のパソコンで動作する。希望者にはマニュアルとともに配布するが、利用の際の質問には随時回答する。標高データとして、数値地図50mメッシュ(標高)を書店で購入する必要がある。また、景観画像の表示には市販のソフトウェア(A.I.Soft社製Vistapro2)が必要である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:牧場における景観設計システムの高度化
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2001~2002年度
- 研究担当者:佐々木寛幸、神山和則、小路敦
- 発表論文等:佐々木 (2001) 農土誌 69(4):55-59.