免疫調節機能を有するプロバイオティック乳酸菌G50株

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要約

乳製品製造に適した乳酸菌ラクトコッカス ラクティスG50株は、アレルギーを引き起こす免疫グロブリンE抗体産生を抑制する。

  • キーワード:プロバイオティクス、乳酸菌、アレルギー、畜産物・品質
  • 担当:畜産草地研・品質開発部・微生物利用研究室
  • 連絡先:電話 029-838-8688、電子メール anne@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:科学・普及

背景・ねらい

近年、乳酸菌による生理的効用(プロバイオティック機能)について世界的に関心が高まってきている。これまでのプロバイオティクス研究は、乳酸菌のなか でもヒト腸由来の乳酸菌を用いた研究が主流であった。しかし、腸由来の乳酸菌は乳中での生育が悪く、乳製品製造の際にはタンパク質分解物などを添加する必 要がある。そこで本研究では、乳製品製造に適した乳酸菌(ラクトコッカス属)のなかから、細胞性免疫を賦活化してアレルギー抑制に働く乳酸菌を新しく見出 すことを目的とする。

成果の内容・特徴

  • ラクトコッカス属乳酸菌(生菌、109)とBALB/cマウス由来マクロファージJ774.1株を共培養し、24時間後の培養上清中のサイトカイン量を測定した。供試した乳酸菌のなかで、Lactococcus lactis subsp. lactis G50株がマクロファージから細胞性免疫賦活に有用なインターロイキン12(IL-12)の産生を最も強く誘導する(図1)。
  • G50をアレルゲンのひとつである卵白オボムコイドで免疫をしたBALB/cマウスへ投与し(19日間、生菌200・g/匹/日、一群6匹)、抗体応答に 及ぼす影響について調べた。G50株投与群では非投与群に比べて、アレルギーを引き起こす免疫グロブリンE (IgE)抗体産生が低下する(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 免疫調節機能を有する乳酸菌G50株を用いた発酵食品等、新規プロバイオティック食品の開発が期待できる。
  • ヒトを対象として保健効果を科学的に検証するためには、ヒト臨床試験等の実施が必要である。

具体的データ

図1 細胞性免疫賦活化能の菌株による違い

 

その他

  • 研究課題名:プロバイオティック乳酸菌による免疫調節機能の解明
  • 課題ID:12-04-02-01-04-03
  • 予算区分:委託(食品成分、食品総合、連携実用化研究)
  • 研究期間:2000~2001年度(食品成分)、2002~2004(食品総合)、2001~2003(連携実用化)
  • 研究担当者:木元広実、水町功子、岡本隆史
  • 発表論文等:1)木元ら(2001)特願2001-280954
                     2)木元ら(2002)特願2002-177084
                     3)Kimoto et al. (2004) Microbiol. Immunol. 48:75-82.