効率的なビタミンE強化鶏卵作出のためのゴマ粕の利用
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要約
産卵鶏へのゴマ粕5%給与により、血漿中αトコフェロール濃度は給与開始1週目で高まり、卵黄中αトコフェロール含量は3~4週目で高まる。
- キーワード:ゴマ粕、αトコフェロール、ビタミンE強化鶏卵、抗酸化、卵用鶏、家畜栄養
- 担当:畜産草地研・家畜生理栄養部・中小家畜代謝研究室
- 連絡先:電話029-838-8656、電子メールmura@affrc.go.jp
- 区分:畜産草地
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
近年、食品素材中の栄養素としての機能以外の機能(3次機能)性に注目が集まり、飼料原料として利用できる素材中にも機能性を有するもののあることが推察
される。これらの素材を利用して鶏卵の品質向上を図ることは、消費者にとってより安全で健康的な品質を求める消費者ニーズに応えることになる。また、鶏卵
において高付加価値化が求められている。
そこで、効率的にビタミンE強化卵を作出するため、抗酸化物質を多く含むものの、余り利用されていないゴマ粕を飼料原料として利用することを検討する。
成果の内容・特徴
- ゴマ粕を5あるいは10%含む飼料を産卵鶏に給与すると、1週以降における血漿αToc濃度は上昇する(図1)。これは、鶏体内では、ゴマリグナン物質が優先的に抗酸化剤として利用されて、αTocが節約されるためと考えられる。
- ゴマ粕を5%含む飼料を産卵鶏に4週間給与すると、3~4週目の鶏卵の卵黄中αToc含量は高まる(表1)。
- ゴマ粕0%、ゴマ粕5%、ゴマ粕0%+酢酸αToc 200mg/kgおよびゴマ粕5%+酢酸αToc
200mg/kgの4種類の飼料を産卵鶏に4週間給与すると、ゴマ粕5%あるいはαToc
200mg/kgの添加で血漿αToc濃度は高く推移するものの、ゴマ粕の節約効果による上昇よりもαTocの直接的な上昇の方が大きい(図2)。
成果の活用面・留意点
- 鶏用飼料にゴマ粕を利用する場合、蛋白質源として大豆粕などとの代替が考えられるが、ゴマ粕に含まれるリジンは鶏にとってほとんど有効性のないことに注意が必要である。
具体的データ
その他
- 研究課題名:抗酸化機能を有する飼料原料を利用した鶏肉・鶏卵の品質向上の検討
- 課題ID:12-04-02-02-12-03
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2003~2005年度
- 研究担当者:村上斉、山崎信、高田良三