日本固有の食品残さを配合調製した発酵リキッド飼料による豚の肥育
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要約
食品製造残さの米飯、豆腐、アン粕を乳酸菌により発酵調製した良質な発酵リキッド飼料を肥育後期の豚に給与すると、通常の配合飼料給与に比べて高い成長と良好な枝肉成績を示す豚肉生産が可能となる。
- キーワード:ブタ、乳酸菌、発酵リキッド飼料、枝肉、畜産物・品質
- 担当:畜産草地研・品質開発部・畜産物品質評価研究室、家畜生産管理部・飼料評価研究室
- 連絡先:電話029-838-8690、電子メールmmitsuru@naro.affrc.go.jp
- 区分:畜産草地
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
現在の飼料自給率は25%にすぎず、食品廃棄物のうち飼料として利用できるものについては、その飼料化が強く望まれている。そこで、食品製造残さの発酵リキッド飼料を肥育豚に給与し、増体や枝肉性状に及ぼす影響を調べる。
成果の内容・特徴
- 肥育豚の後期の養分要求量に合うように食品製造残さの米飯、豆腐、アン粕を原料とした飼料設計を行い、長期間の給与が可能となるように乳酸菌添加により発酵調製したリキッド飼料を用いる。
- この発酵リキッド飼料は、保存中pH3.8程度の良好な発酵品質を示し、可消化養分総量(TDN)含量が97.3%、アミノ酸の要求量も満たす良質な肥育用飼料である(表1)。
- 交雑種の肥育豚を用い、上述の発酵リキッド飼料をと畜前6週間毎日給与すると、配合飼料の給与に比べて体重(図1)、と畜前
体重、枝肉重量、枝肉歩留、背脂肪厚が増加し、内臓重量が減少する(表2)。発酵リキッド飼料の給与は筋肉重量には影響を及ぼさない(表2)。発酵リキッ
ド飼料の給与は配合飼料の給与に比べて体脂肪が増加したことにより、生体重や枝肉重量が大きくなる。
成果の活用面・留意点
- 食品製造残さの発酵リキッド飼料給与による効率的な豚肉生産が可能となる。
- 発酵リキッド飼料のTDNが高いことから、一般飼料に比べて糞排泄量を少なくすることが期待できる。
- 発酵リキッド飼料給与は配合飼料給与に比べて体脂肪が増加しやすく、場合によっては厚脂となるので注意する必要がある。
- 脂肪の質に及ぼす発酵リキッド飼料中の脂肪酸組成の影響を明らかにする必要がある。
具体的データ
その他
- 研究課題名:食品残さの発酵リキッド飼料化システムの開発-有機性資源飼料給与豚肉の品質評価手法および向上技術の開発
- 課題ID:12-04-01-*-11-03
- 予算区分:バイオリサイクル
- 研究期間:2002~2006年度
- 研究担当者:三津本 充、佐々木啓介、川島知之、佐伯真魚、立川 洋((株)セキネ)、山本英雄((株)セキネ)