食品残さ由来乾燥飼料のブタにおける栄養価推定式

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要約

各種乾燥法により処理された多様な食品残さ由来飼料の栄養価をその成分値により高精度で推定できる。

  • キーワード:食品残さ、飼料化、栄養価、飼料利用、ブタ
  • 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・飼料評価研究室
  • 連絡先:電話029-838-8648、電子メールtkawa@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

飼料自給率の向上、環境負荷の低減のため、食品残さの飼料化が求められている。食品リサイクル法の施行に伴い、食品残さを乾燥処理する各種飼料化プラント が製造されている。このようにして製造された飼料を用いて配合設計するには栄養価の推定が不可欠である。多様な食品残さを各種乾燥処理プラントで製造した 飼料(合計14検体)の豚における消化試験を実施し、その結果から栄養価の推定式を求める。

成果の内容・特徴

  • 各種食品残さを乾熱乾燥、減圧乾燥、通風乾燥、発酵乾燥、油温減圧脱水、ボイル乾燥により乾燥処理(乾燥温度は52~130℃)された製品14検体の化学成分分析を実施するとともにブタによる消化試験を実施し、成分の消化率と栄養価を求める。
  • 粗タンパク質、粗脂肪、炭水化物(有機物-粗タンパク質-粗脂肪)の消化率(平均±標準偏差)はそれぞれ68.7±15.8、85.7±8.9、81.9±12.6%である。
  • 各種成分とその可消化部分の相関係数(栄養的均一性)は炭水化物、脂質についてはそれぞれr=0.986、0.994である の対し、粗タンパク質のそれは0.914である(図1、2)。一方細胞内容物の有機物部分(OCC)中粗タンパク質含量と、可消化粗タンパク質含量との相 関はr=0.962であり、この値から可消化タンパク質精度良く推定できる(図3)。なお、OCC中粗タンパク質含量は粗タンパク質含量と総繊維中の粗タ ンパク質含量の差から求める。
    可消化粗蛋白質含量%=0.91×OCC中粗タンパク質含量+0.42
    可消化粗脂肪含量%=0.99×粗脂肪含量-1.21
    可消化炭水化物含量%=1.11×(有機物-粗タンパク質-粗脂肪)-15.54
  • これら値を用いてTDNの推定式が以下のように得られ、実測値との相関係数はr=0.887であり、NRCの推定式による値(r=0.733)より精度良く栄養価が推定できる(図4)。
    TDN%=0.91×OCC中粗タンパク質含量+2.22×粗脂肪含量+1.11×(有機物-粗タンパク質-粗脂肪)-17.84

成果の活用面・留意点

  • 多様な食品残さを原料として製造した乾燥飼料の栄養価をその成分値から高精度で推定できる。
  • 食品残さの飼料化を行うには衛生管理を行った上での分別収集が前提となる。

具体的データ

 

 

 

 

その他

  • 研究課題名:低・未利用飼料資源の飼料特性評価
  • 課題ID:12-02-04-01-02-03
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:川島知之、佐伯真魚、永西修、米持千里(科飼協)、青木健(科飼協)、花積三千人(科飼協)、蜜澤美起(日大)、金一(日大)、阿部亮(日大)