センチピードグラス播種によるシバ型放牧草地の早期造成
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要約
播種によるシバ型放牧草地の早期造成では、センチピードグラスが有望である。6月に10aあたり1kgの少量播種でも、蹄耕法造成(播種時に1週間放牧後2週間禁牧)により、放牧利用しながら翌年秋には被度70%程度のセンチピードグラス放牧草地となる。
- キーワード:センチピードグラス、播種、シバ型草地、放牧、永年草地、イネ科牧草
- 担当:畜産草地研・放牧管理部・草地管理研究室
- 連絡先:電話0287-37-7808、電子メールyoshito@affrc.go.jp
- 区分:畜産草地
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
遊休農林地を放牧活用するときに粗放的管理に耐えるシバ型草地を造成することが多い。しかしながら、在来のシバは初期生育が緩慢なことや既存草種との競争
などのため、シバ型草地化するまでに年数がかかることが問題である。また一方では、暖地を中心にセンチピードグラスなどの放牧地向けの新しいシバ型草種も
注目されているが、種子が高価である。
シバ型草地化の促進技術を開発するために、シバ、センチピードグラス、カーペットグラスのシバ型3草種の発芽と初期定着性を解明し、播種による早期造成の可能性を明らかにする。
成果の内容・特徴
- センチピードグラス(Eremochloa ophiuroides (Munro) Hack.)は、低温でも高い発芽率と短い発芽日数を示し、カーペットグラス(Axonopus affinis Chase)、シバ(Zoysia japonica
Steud.)を加えたシバ型3草種の中では最も播種造成に向いた特性を持っている(表1)。
- 6月に播種し蹄耕法(播種時に放牧を行い家畜の踏圧(本試験では5頭/ha)等を利用する草地造成法)により造成したシバ型
草種の播種後3ヶ月の被度は、カーペットグラス、センチピードグラス、シバの順で高く、いずれも播種放牧後の禁牧期間が長い区ではシバ型草種の定着が困難
である(表2)。またカーペットグラスは越冬率が低く翌年には被度が低下する(表2)。
- 播種当年の秋のセンチピードグラス被度は播種量に応じて差異が生じるが、翌年秋にはその差異が小さくなり、少ない播種量(1kg/10a)でも70%程度の被度を示す(表3、写真1)。
成果の活用面・留意点
- 遊休農林地を放牧活用するための早期シバ型草地化技術に役立つ。
- センチピードグラスは暖地型牧草であるが、普通種でも関東以南では越冬可能である。
- 播種と放牧の組み合わせによるセンチピードグラス草地の造成では播種後の管理放牧が大切である(播種後の禁牧期間を長くしないこと)。
具体的データ
その他
- 研究課題名:雑木林伐採跡地におけるシバ型草種の生育とその管理技術
- 課題ID:12-03-02-*-01-02
- 予算区分:21世紀6系
- 研究期間:2001~2002年度
- 研究担当者:山本嘉人、北川美弥、西田智子、梨木守