体細胞クローン新生子牛の血液成分の特徴
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要約
体細胞クローン牛は、一般牛と比べて出生直後の赤血球数は少ない傾向があり、生後1週間の平均赤血球容積と平均ヘモグロビン量は有意に高い。3ヶ月以上生存しているクローン牛においては、ほとんどの血液生化学項目で一般牛と差は認められない。
- キーワード:ウシ、家畜繁殖、体細胞クローン、血液性状
- 担当:畜産草地研・家畜育種繁殖部・生殖細胞研究室
- 連絡先:電話029-838-7382、電子メールakagi@affrc.go.jp
- 区分:畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
体細胞クローン牛の大部分では繁殖能力を含め正常に発育することが報告されている。しかし、一般牛と比べてクローン牛では生後直死や病死が多い傾向があ
る。本研究ではクローン牛と一般牛の血液成分を比較し、クローン牛の生後の血液成分の特徴を明らかにすることを目的とする。
成果の内容・特徴
- 黒毛和種卵丘細胞由来体細胞クローン牛10頭(4頭:3ヶ月以上生存牛、6頭:生後9-51日に死亡牛)および一般牛4頭
(人工授精由来、3ヶ月以上生存牛)について出生直後から経時的に採血を行い、赤血球数(RBC)、ヘマトクリット(Hct)、ヘモグロビン(Hb)、平
均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、白血球数(WBC)および血液生化学成分20項
目(表1)についての測定を行った。
- クローン牛の出生直後の赤血球数(RBC)は、一般牛と比べて少ない傾向が認められる(図1)。生後7日間の平均赤血球容積(MCV)および平均ヘモグロビン量(MCH)は一般牛と比べ有意に高いが、14日目には差は認められなくなる(図2)。
- 血液生化学項目は3ヶ月以上生存しているクローン牛においては、ほとんどの項目で一般牛と差は認められない(表1)
成果の活用面・留意点
- クローン新生子牛に発生する病死の原因解明のための基礎的知見として活用できる。
- 死亡するクローン牛の病変は多様である(平成14年度動物衛生研究成果情報、15.体細胞クローン牛の流・死産および早期死亡例の病理学的検討)ので、クローン牛の血液生化学成分の値は個々の病理所見により表1と異なるパターンを示すことも考えられる。
- クローン牛の臨床所見と血液生化学成分との関連について更にデータを集積する必要がある。
具体的データ
その他
- 研究課題名:クローン牛作出技術の安定化および応用に関する研究
- 課題ID :12-01-03-*-04-03
- 予算区分:地域バイテク
- 研究期間:2002~2003年度
- 担当者名:赤木悟史、高橋清也、足立憲隆