ラットへのゴマ粕給与による尿中窒素排せつ率の低減
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要約
ゴマ粕を10%含む飼料をラットに給与すると、体脂肪蓄積量が低下すると共に、尿中窒素排せつ率(尿中窒素/摂取窒素)は低減される。
- キーワード:ゴマ粕、尿中窒素、家畜ふん尿、家畜栄養
- 担当:畜産草地研・家畜生理栄養部・中小家畜代謝研究室
- 連絡先:電話029-838-8656、電子メールryozo@affrc.go.jp
- 区分:畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
畜産環境汚染問題において、窒素については糞中よりも尿汚水中の処理がより重要である。そこで、動物からの尿中窒素排泄量を低減できれば汚水処理への負担が軽減でき、畜産環境汚染問題に大きく貢献できる。
ところで、脂質代謝と窒素代謝は相互に関連性のあることが明らかになってきた。そこで、脂質代謝への影響のみならず窒素代謝にも影響を及ぼすことが期待されるゴマ粕を動物に給与し、生産性を損なうことなく尿中窒素排泄量を低減することをねらいとする。
成果の内容・特徴
- ゴマ粕を10%含む飼料をラットに給与すると、総窒素排せつ率(糞尿窒素/摂取窒素)は低下の傾向が見られ、尿中窒素排せつ率(尿中窒素/摂取窒素)は明らかに(P<0.05)低減される(図1、2)。
- ゴマ粕の給与により、ラットの飼養成績には影響が見られず、体脂肪蓄積量(精巣脂肪重量)は低下する(表1)。また、脂肪酸合成系酵素(FAS)の活性は低下し、脂肪酸分解系酵素(CPT,
POA)の活性は上昇する。
- 以上の結果より、ゴマ粕を動物に給与すると、生産性に悪影響を与えることなく尿中窒素排せつ量を低減できる。
成果の活用面・留意点
- ゴマ粕は、製造過程の条件(温度)によって品質に大きな違いが出る。高温処理したゴマ粕は、蛋白質の消化率がかなり低下するため、リジン等必須アミノ酸の十分な添加が必要である。
具体的データ
その他
- 研究課題名:動物体内での脂肪酸代謝制御による窒素排泄量の低減
- 課題ID:12-08-02-*-05-02
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2000~2002年度
- 研究担当者:高田良三、甘利雅拡、村上 斉、山崎 信、大塚 誠