ルーメン微生物によるメタン酸化
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要約
ルーメン微生物により嫌気的なメタン酸化反応が引き起こされるものの、量的にはメタン産生量の0.5%以下と微少なものである。この酸化に伴う電子受容反応としては、硫酸還元が共役している。
- キーワード:家畜生理・栄養、ルーメン微生物、メタン酸化、硫酸還元
- 担当:畜産草地研・家畜生理栄養部・消化管微生物研究室
- 連絡先:電話029-838-8660、電子メールkajikawa@affrc.go.jp
- 区分:畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
温室効果ガスであるメタンは、海洋・湖沼および水田等の多様な生態系から発生するが、その多くは産生直後から酸化作用を受け、それを逃れた部分が大気中
に放出される。例えば水田では産生されたメタンの最大80%が酸化される。しかしルーメン内ではメタン酸化細菌の存在は確認されているものの、メタン酸化
がどの程度起きるのかに関しては全く調べられていない。もし有意な量のメタンが酸化されるならば、ルーメンからのメタン発生は、産生と酸化の両面から制御
することが可能となり、反芻家畜のエネルギー代謝および地球環境に対する新たな技術開発に結びつく。
成果の内容・特徴
- メン羊のルーメン内から採取した混合微生物を13CH4存在下で培養し、13CのCO2への変換量を測定した結果、酸素不在
下ではメタン酸化が引き起こされる。しかし量的にはメタン産生の0.2~0.5%と微少なものであることから(表1)、ルーメンからのメタン発生の制御
は、メタン産生そのものの制御によってのみ可能となる。
- メタン酸化は硫酸還元阻害剤により抑制されるところから、硫酸還元がメタン酸化に共役する電子受容反応と考えられる(図2)。
成果の活用面・留意点
- 好気的なメタン酸化がルーメン壁近傍で起こる可能性はある。
具体的データ
その他
- 研究課題名:ルーメン細菌におけるエネルギー代謝とその影響要因に関する研究
- 課題ID:12-02-02-02-06-03
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2001~2005年度
- 研究担当者:梶川博、C. J. Newbold(英国・ローウェット研)
- 発表論文等:Kajikawa et al. (2003) Lett. Appl. Microbiol. 36:354-357.