シバ遺伝資源における遺伝的類縁関係
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要約
15種類のSSRマーカーを用いて、わが国在来のシバ属6種48品種・系統の多型解析を行った。多型情報にもとづく類縁関係から、供試48品種・系統は大きく10群に分類できる。
- キーワード:飼料作物育種、イネ科牧草、シバ、遺伝資源、SSR、類縁関係
- 担当:畜産草地研・飼料作物開発部・育種資源研究室
- 連絡先:電話0287-37-7552、電子メールkobamako@affrc.go.jp
- 区分:畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
シバの育種を効率よく進めるためには、幅広い変異を示す多数の遺伝資源を収集・導入することが重要である。そこで、本研究ではシバ品種「朝駆」由来のSSRマーカーを利用して、沖縄を中心に収集したシバ属の多型解析を行い、それらの遺伝的類縁関係を明らかにする。
成果の内容・特徴
- シバ属6種48品種・系統のゲノミックDNAを鋳型に、15種類のSSRマーカーを用いて多型解析を行った。その結果、全てのSSRマーカーにおいて、品種・系統あたり1-2本の明瞭な増幅断片が得られた。
- 検出された多型情報をもとに各品種・系統間の近縁度を算出し、UPGMA法によりクラスター分析を行った。得られた類縁関係から供試48系統は大きく10群に分類することができ、各分類群は形態的特徴にもとづく種の分類結果と概ね一致する。
- シバ(Z. japonica)、コウライシバ(Z. tenuifolia)、コオニシバ(Z.
sinica)およびオニシバ(Z. macrostachya)系統では収集地の近い系統でクラスターを作る傾向が認められるが、コウシュンシバ(Z.
matrella)には各クラスターを構成する系統間の関係にそのような地理的分布は見いだせなかった。
- わずかな形態形質の違いを指標として分類されるシバ属において、SSRマーカーによる分類は種を同定する際の目安として利用できる。
成果の活用面・留意点
- 新品種の育成や遺伝分析のための交配母本の選抜などに活用できる。
- シバ遺伝資源の効率的な保存・管理が可能になる。
具体的データ
その他
- 研究課題名:機械耕作が不要なシバ草地の早期造成に適した種子・栄養繁殖併用品種の開発
- 課題ID:12-05-03-01-09-03
- 予算区分:ブラニチ3系
- 研究期間:2003~2005年度
- 研究担当者:霍田真一、高原 学、小林 真