ウシは異なる音楽を聞き分けて学習した音楽で誘導される
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要約
ウシに2種類の音楽を聞かせてどちらか一方の音楽だけに誘導されるよう訓練することで、多頭一群の牛群から音楽のみで特定の小群を分離・誘導することができる。
- キーワード:ウシ、音楽の弁別、音響誘導、学習、公共草地、放牧
- 担当:畜産草地研・放牧管理部・行動管理研究室
- 連絡先:電話0287-37-7245、電子メールhtsuka@affrc.go.jp
- 区分:畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
多頭一群で飼育されている公共草地で、個別農家が預託牛の繁殖・衛生管理を行う場合、放牧牛群から当該牛だけを集畜する作業が必要となる。本研究では、
ウシの音楽弁別能力(音楽を聞き分ける能力)を利用して音楽の種類のみを変えた誘導訓練により、牛群から別々の小群を分離・誘導することができるか、実験的に明らかにする。
成果の内容・特徴
- 黒毛和種繁殖雌牛は、一種類の音楽による音響誘導では、肉用牛繁殖用配合飼料(70~210g)を報酬として9回程度の訓練を繰り返すことにより速やかに学習する。
- 黒毛和種繁殖雌牛に異なる2種類の音楽〔アメリカンウェイク(ケルトダンス音楽、楽器:バイオリン)、ヘイ・ジュード(ムー
ド音楽、楽器:ケーナ)〕をランダムに提示し、一方の音楽提示時にのみ飼槽で濃厚飼料を与える誘導訓練を1日12回繰り返し行うと、3~11日で訓練牛は
音楽の弁別学習を成立させ、報酬のある音楽に対してのみ誘導されるようになる(図1)。
- 弁別学習が成立した2群(3頭/群)の黒毛和種繁殖牛を1群とし、学習させた2種類の音楽(アメリカンウェイクとヘイ・
ジュード)をランダムに1日20回提示すると、初めのうちは非誘導群が誘導群の行動につられるが、7~12日繰り返すことにより、提示音楽と結びついた小
群だけを分離・誘導することが可能となる(図2)。
成果の活用面・留意点
- 公共草地に預託する複数の農家が預託牛を個別に音響誘導する場合の参考となる。
- 牛群内の社会的に優位な個体が、社会的に劣位な個体の誘導学習を妨害しないよう、追い払い等の配慮が必要である。
具体的データ
その他
- 研究課題名:公共牧場における個人農家の集畜・捕獲技術
- 課題ID:12-03-03-01-13-03
- 予算区分:交付金・21世紀6系
- 研究期間:2001~2003年度
- 研究担当者:塚田英晴、須藤まどか、井村 毅、小迫孝実、深澤 充、花房泰子