緑茶飲料残渣サイレージは泌乳牛用飼料として活用できる
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要約
緑茶飲料残渣サイレージは、乾物中のTDN、可消化エネルギーおよび代謝エネルギー含量がそれぞれ69.8%、13.0MJ/kg、10.5MJ/kgで、乳量30kg程度の泌乳牛のTMR乾物中5%程度配合できる。
- キーワード:緑茶飲料残渣、サイレージ、TMR、飼料利用、乳用牛
- 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・乳牛飼養研究室
- 連絡先:電話0287-37-7806、電子メールnishtake@affrc.go.jp
- 区分:畜産草地
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
緑茶飲料の生産量は、2000年の101万klから2003年の178万klへと年々増加しており、それに伴い残渣の排出量も増大していると推定される。緑茶飲料残渣は、サイレージ調製することにより、家畜用飼料としての利用が期待されるが、牛におけるその栄養価は不明である。また、緑茶飲料残渣サイレージの採食性は飼料給与方式により左右され、分離給与の場合、選択採食が認められ、給与した緑茶飲料残渣サイレージのほとんどが摂取されない場合も見受けられる。そこで、緑茶飲料残渣サイレージの牛における栄養価を求め、TMR給与方式での泌乳牛への適正給与割合を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 緑茶飲料残渣サイレージ乾物中のTDNが69.8%、可消化エネルギーが13.0MJ/kg、代謝エネルギーが10.5MJ/kgである(表1)。
- 泌乳中期ホルスタイン種乳牛の緑茶飲料残渣サイレージを乾物比で0、5、10および15%含有する4種類TMR(表2)に対する自由採食量(乾物kg/日)は、それぞれ26.7、25.2、24.2と20.7であり、0%に比べ5%と10%給与で差はないものの、15%で有意に減少する(表3)。
- 乳蛋白質率と乳脂率は、緑茶飲料残渣サイレージ給与の影響を受けないが、乳量および乳糖率は、乾物摂取量と同様にTMR中への緑茶飲料残渣サイレージの配合割合が10%を超えると有意に減少する(表3)。
- 上記2および3から、緑茶飲料残渣サイレージは、乳量30kg程度の泌乳牛用TMRの飼料素材として利用でき、乾物比5%程度の配合で、乳量、乳成分に影響しない。
成果の活用面・留意点
- 緑茶飲料残渣サイレージは、民間TMRセンターで利用の意向があり既に試験的利用が行われているが、その際、泌乳牛への給与量算定の根拠となる。
- 緑茶飲料残渣サイレージは、乳酸菌とセルラーゼを添加して調製したものである。
具体的データ


その他
- 研究課題名:茶系飲料残渣の栄養価と機能性評価および給与技術の確立
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2002~2004年度
- 研究担当者:西田武弘、額爾敦巴雅爾、松山裕城、細田謙次、塩谷 繁
- 発表論文等:額爾敦巴雅爾ら(2004)日畜会報75(4):559-566.