「畜草1号」を添加した稲わらサイレージの品質改善効果

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要約

乳酸菌「畜草1号」製剤を添加した稲わらロールベールサイレージでは、発酵品質が向上し、カビ発生による損失率も減少する。またメン羊への給与により、サイレージの嗜好性が向上し、腸内菌叢が改善される。

  • キーワード:乳酸菌、稲わら、サイレージ、腸内菌叢、飼料利用
  • 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・飼料調製研究室
  • 連絡先:電話0287-37-7804、電子メールcai@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

国産稲わらの生産量は十分にありながら、収集が困難であること、効率の高い飼料調製・利用技術の開発が不十分であること等により、年間排出量約900万トンのうち、70%以上がすき込み・焼却処理されている。このことから、稲わらを有効に利用することは、飼料自給率の向上、耕畜の連携、環境の保全や資源循環型畜産の推進にも極めて有用な技術であると考えられる。
本研究では、乳酸菌「畜草1号」製剤を活用した稲わらロールベールサイレージの調製およびメン羊への給与による腸内菌叢の改善効果について検討する。

成果の内容・特徴

  • 「畜草1号」を添加した稲わら(品種:コシヒカリ)ロールベールサイレージでは無添加サイレージに比べ、乳酸菌が多く生存しその発酵品質は良好である(表1)。
  • カビ発生によるサイレージの廃棄量は「畜草1号」添加により大幅に抑えられる(図1)。
  • メン羊によるサイレージの採食量は「畜草1号」添加サイレージが乾燥稲わらおよび無添加サイレージより顕著に向上する(図2)。
  • 稲わら、無添加サイレージおよび「畜草1号」添加サイレージをメン羊に給与して、ルーメンとフン中に生息している菌叢を調査した結果、「畜草1号」添加区では、乳酸菌と酵母の菌数が増加し、大腸菌群とブドウ球菌数などの不良微生物が減少しており、腸内菌叢の改善効果が認められる(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 国産生稲わらを有効に利用するため、高品質稲わらサイレージの調製に役立つ。
  • 稲わらサイレージの発酵品質を確保するため、殻実を収穫した稲わらは水分が50%以下予乾しすぎないように留意する。

具体的データ

表1.稲わらサイレージの発酵品質と微生物菌種構成 図1.カビ発生による稲わらサイレージの廃棄量

 

図2.稲わらとサイレージの採食量。 図3.乳酸菌添加サイレージの給与が羊ルーメンとフン中の微生物菌叢 に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:プロバイオティック乳酸菌の探索と飼料調製加工への利用技術の開発
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2003~2005年度
  • 研究担当者:蔡 義民、徐 春城、日野直子、吉田宣夫
  • 発表論文等:1) 蔡ら(2003)日本草地学会誌 49(5):477-485.
                      2) 蔡(2004)畜産の研究 58(9):957-966.
                      3) 蔡 (2004) 関東畜産学会報 45(1):69-74.