ふん尿分離床牛舎のバーンスクレーパに補助パドルを取付ける効果
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要約
ふん尿分離床フリーストール牛舎のバーンスクレーパに補助パドルを取付けることにより、バーンスクレーパ搬出ふん尿の含水率の低減が可能である。また、牛舎搬出ふん尿の総水分量に対するバーンスクレーパで搬出される水分の重量比率を減らすことができ、バーンスクレーパ搬出ふん尿への水分の移行を抑える効果が得られる。
- キーワード:畜産環境、家畜ふん尿、乳用牛、フリーストール牛舎、ふん尿分離、バーンスクレーパ、リン・カリ
- 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・家畜管理工学研究室
- 連絡先:電話029-838-8678、電子メールsankih@affrc.go.jp
- 区分:畜産草地、共通基盤・作業技術
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
牛通路中央に排尿スリットと尿パイプを有するフリーストール牛舎において、バーンスクレーパ(以下スクレーパと略記する。)に補助パドル(写真)を取付け、排ふん量の多いストール近辺から通路中央への搬出時ふん横方向移動を規制して、スクレーパ搬出ふん尿への水分移行を減少させる効果、及び搾乳牛の行動パターンへの影響を調査する。また、搬出ふん尿の成分的特徴を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 補助パドルを取付けたスクレーパのふん尿搬出時の電流値は、2.1~2.3Aで、従来スクレーパの2.1~2.2Aより若干の電流増があるが過負荷とはならない。また、補助パドルの取付けによる収容牛の滞在場所、ストールや飼槽利用への影響は認められない。
- ふん尿分離床フリーストール牛舎からのスクレーパ搬出ふん尿の含水率は、補助パドルを取付けることにより低下する(表1)。
- スクレーパと尿パイプで搬出されるふん尿の全水分量に対するスクレーパで搬出される水分の重量比率は、補助パドルを取付けることにより補助パドル無しの場合より2%程度少なくできる(図)。
- スクレーパ搬出ふん尿のリン(P205)成分比率は乾物あたり2.2%、カリ(K20)2.5~2.7%となり、尿パイプ搬出ふん尿はリン1.1~1.2%、カリ18.5~20.3%の値を示した。また、スクレーパと尿パイプの搬出リンの配分は17:1、カリの配分は約2:1の比率を示し、補助パドル取付けは尿パイプ搬出ふん尿の液肥処理上の問題とならない(表2)。
成果の活用面・留意点
- 補助パドルは、ふん尿分離床でのスクレーパ搬出ふん尿の水分削減方法として有効であり、堆肥化施設の処理負荷軽減に活用できる。
- 終端ふんピット開口部の補助パドル通過位置には、パドル通過を円滑にし、ふんの落下を妨げない橋げたを設置する必要がある。
具体的データ




その他
- 研究課題名:フリーストール牛舎におけるふん尿分離搬出法の開発
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2002~2004年度
- 研究担当者:長谷川三喜、市来秀之、石田三佳、本田善文