2液混合噴霧システムによる鶏舎内環境の改善
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要約
希酢酸と植物油を吐出直後に混合・噴霧する2液混合噴霧システムで、1日に30分間の間欠噴霧をすることにより、鶏舎内の粉塵と空中浮遊細菌を低減することができる。
- キーワード:飼育管理、ニワトリ、鶏舎内環境、粉塵、細菌、植物油、酢酸
- 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・家畜管理工学研究室
- 連絡先:電話029-838-8678、電子メールhichiki@affrc.go.jp
- 区分:畜産草地、共通基盤・作業技術
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
無窓鶏舎内の粉塵は、飼料や糞の粉、畜体の剥離細胞に起因すると言われ、細菌、揮発性臭気物質(アンモニア等)が付着しており、作業者、畜体の疾病や悪臭の要因と考えらている。そこで、植物油、酢酸を吐出直後に混合・噴霧し、粉塵等の低減をねらいとした2液混合噴霧システムを開発し、2液混合噴霧により鶏舎内の環境を改善する。
成果の内容・特徴
- 開発した2液混合噴霧システムは、2液混合噴霧ノズル、第1液希釈装置、第1液ポンプ、第2液圧送タンク、エアコンプレッサ、制御盤等で構成され、界面活性剤や攪拌機を使用せずに、混ざりにくい2液を混合・噴霧できる(図1)。
- ノズル開度の他、制御盤ではノズルエア圧、圧送タンク圧、噴霧時間、噴霧間隔、第1液希釈濃度等を設定することにより、第1液、第2液の濃度、噴霧量を調整できる。
- 実験無窓鶏舎で本システムの第1液に水、第2液に植物油を使用して、毎日30分間、60秒毎に10秒間の間欠噴霧を12日間行うことによって、噴霧期間中は1/4程度、噴霧停止後9日間は1/5程度、粉塵濃度を減少させることができる(表1)。
- 横断型無窓鶏舎で本システムの第1液に希酢酸、第2液に植物油を使用して、毎日30分間、70秒毎に10秒間の間欠噴霧を9日間行うことによって、噴霧開始後6日目から9日目の総浮遊粉塵濃度を1/3強、人に吸気される可能性の高い7μm以下の浮遊粉塵濃度と浮遊一般細菌数を1/2弱程度、減少させることができる(表2、図2)。
- 実験無窓鶏舎で本システムの第1液に水、第2液に33%希酢酸を使用して、希酢酸噴霧濃度1.5%の連続噴霧により、アンモニア濃度を8ppmから4ppmに低下させることができた。
成果の活用面・留意点
- 鶏舎内環境を改善する噴霧システム設計のための資となる。
- 最適な噴霧時間、方法等は個別鶏舎で事前にチェックする必要がある。
- 1日30分間の間欠噴霧では、アンモニア低減効果は長時間持続しない。
具体的データ



その他
- 研究課題名:畜舎における臭気および粉塵の自動制御技術の開発
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2003~2004年度
- 研究担当者:市来秀之、長谷川三喜、石田三佳