ウシ脂肪組織のC/EBPファミリー発現量は黒毛和種がホルスタイン種より高い
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要約
脂肪細胞の分化を制御する核内転写因子C/EBPδとC/EBPαの発現量は、黒毛和種の皮下脂肪と筋間脂肪でホルスタイン種より高い。
- キーワード:ウシ、脂肪蓄積、C/EBP 、家畜生理
- 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・産肉技術研究室
- 連絡先:電話0287-37-7811、電子メールtoyamada@affrc.go.jp
- 区分:畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
肉用牛における脂肪蓄積能力の解明は、経済形質向上の観点から極めて重要である。最近の研究において核内転写因子C/EBPファミリーが脂肪細胞の分化制御に特に重要な役割を果たしていることが明らかにされてきているが、肉用牛の脂肪蓄積とC/EBPファミリーとの関係は未だ不明である。そこで本研究では、脂肪蓄積能力の大きく異なる黒毛和種とホルスタイン種肥育牛脂肪組織におけるC/EBPファミリー発現に関する検討を行う。
成果の内容・特徴
- 脂肪細胞の分化の初期段階において発現量が増加し初期分化調節に関与するC/EBP δ蛋白質発現量は、皮下脂肪と筋間脂肪で黒毛和種の方がホルスタイン種より高い傾向にある(図1)。
- 脂肪細胞の分化の後期段階において発現量が増加し脂肪細胞終末分化に関与するC/EBP α蛋白質発現量は、皮下脂肪と筋間脂肪で黒毛和種の方がホルスタイン種より高い傾向にある(図2)。
- 黒毛和種去勢肥育牛とホルスタイン種去勢肥育牛を19ヶ月齢で解体した結果、黒毛和種の皮下脂肪割合と筋間脂肪割合がホルスタイン種より高い(表1)。
- 以上より、黒毛和種の皮下脂肪割合と筋間脂肪割合がホルスタイン種と比較して高いのは、C/EBPファミリー発現量が関連している可能性を示している。
成果の活用面・留意点
- 肉用牛における脂肪組織分化の研究に活用できる。
- 19ヶ月齢における結果である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:肉用牛における脂肪組織の蓄積部位の違いが細胞分化機能に及ぼす影響
- 予算区分:伊藤記念財団、交付金
- 研究期間:2003~2004年度
- 研究担当者:山田知哉、河上眞一、中西直人
- 発表論文等:1) Yamada et al. (2003) Anim.Sci.J. 74:95-100.
2) 山田ら(2004). 伊藤記念財団研究成果報告書.22:141-145.