リビングマルチ利用マメ科再生草の刈払い処理によるトウモロコシの増収効果

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要約

アルファルファ再生草をリビングマルチ利用し、夏作トウモロコシを不耕起・無農薬栽培した場合、トウモロコシ2~3葉期に再生草をトウモロコシと一緒に刈払うことで、草種間の競合が抑制されトウモロコシの増収が見込める。

  • キーワード:マメ科牧草、トウモロコシ、リビングマルチ、刈払い処理、草地生産管理
  • 担当:畜産草地研・飼料生産管理部・栽培生理研究室
  • 連絡先:電話0287-37-7802、電子メールsoichi@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

除草剤を使用しない無農薬飼料生産においては、中耕・刈払い・作期移動など各種の方法を組み合わせ雑草を抑制することが必要となる。冬作としてマメ科牧草を栽培した場合、収穫後の再生草を雑草抑制のリビングマルチとして利用できるが、夏作トウモロコシと競合を起こし減収の要因にもなる。そこで主要マメ科牧草であるアルファルファ(AF)について競合回避の手段として再生草の刈払い方法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 主要マメ科牧草収穫後の再生草をリビングマルチとして利用した場合、アルサイククローバ(AC)ではほぼ十分なトウモロコシの収量が得られる(図1、表1)。それに対してアルファルファ(AF)では再生草が雑草だけではなくトウモロコシ収量も抑制し、ACと同程度の収量は得られない(表1)。
  • AFのリビングマルチにおいてトウモロコシ収量を確保するためには再生草の抑制が必要である。その方法として刈払い法を検討した結果、トウモロコシの播種前・播種後に再生草の刈払いを行うことでトウモロコシ収量が回復する。その効果は播種後にトウモロコシごと再生草を刈払う方法でより大きい(表2)。
  • トウモロコシ播種後のAF後刈り方法において、収量回復のための施肥法と、刈払い時のトウモロコシ生育ステージの最適条件を検討したところ元肥+追肥の2回施肥と、トウモロコシ2~3葉期(播種20日後)における刈払いの組み合わせであり、ACと同程度まで回復する(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 農薬を使用しないトウモロコシ有機飼料生産の基礎的手法として有用な知見となる。
  • 刈払い時にトウモロコシの引き抜きに注意する必要がある。

具体的データ

表1. リビングマルチ用草種の違いが乾物収量へ及ぼす影響

 

図1. 収穫時の再生マメ科混入量と、雑草重、 及びトウモロコシ収量との関係 表2 マメ科再生草(AF)の刈払い方法が乾物 収量へ及ぼす影響

 

表3. 再生草の後刈り方式における最適条件の検討

その他

  • 研究課題名:冬作草種を利用した夏作物の環境保全型栽培法
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2001~2004年度
  • 研究担当者:森田聡一郎、平久保友美(岩手農研セ)、吉村義則、田中宜久(秋田普及セ)、黒川俊二、
                      大宅由里(佐賀畜試)