草地飼料畑面積の国土数値情報と農業統計データを用いた推定方法

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要約

国土数値情報の土地利用メッシュデータ(1/10細分区画)と農林業センサスの統計データを組み合わせることにより、100mメッシュごとの水田・畑面積が算出できる。この面積から1kmメッシュ単位で草地飼料畑面積を推定する方法を開発した。

  • キーワード:永年草地、飼料作物、土地利用メッシュ、農林業センサス、面積推定
  • 担当:畜産草地研・草地生態部・草地資源評価研究室
  • 連絡先:電話0287-37-7246、電子メールkohyama@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:行政・参考

背景・ねらい

地形図に代表されるわが国の農業的土地利用区分は水田、畑、樹園地、桑園に限られている。特に、草地は畑の一部に含まれていて、全国的な地理的分布はまとめられていない。一方、農業統計の大部分は市町村単位にまとめられており、最も詳細な場合でも集落単位である。これらの理由により、土地の有効利用に必要な地形・気象・土壌等の立地条件による評価も十分に行われていないのが現状である。そこで、既存の国土数値情報と組み合わせて利用可能なわが国全体を網羅するメッシュデータを作成するために、農業統計を用いて草地飼料畑面積を1kmメッシュ単位で推定する手法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 草地飼料畑面積の推定手順は以下のとおりである(図1)。
    1)整備するデータ
      (1)土地利用メッシュデータ(1/10細分区画)、(2)農林業センサスの農業集落カード(農業統計データ)、(3)100mメッ
      シュ農業集落地図(農林業センサスの農業集落地図から作成)
    2)面積推定手順
      (1)土地利用メッシュデータと100mメッシュ農業集落地図とを重ね合わせ、集落単位で水田、畑面積を集計する。(2)
      この面積と農業統計データの面積を比較し、面積の過不足を調整する。(3)各集落について1メッシュあたりの水田、
      畑面積を算出する。(4)各集落の畑面積に対する草地飼料畑面積の割合を求め、(3)で算出した畑面積にこれを乗
      じて1メッシュあたりの草地飼料畑面積を算出する。(5)10×10メッシュごとに集計し、1kmメッシュの草地飼料畑面
      積を決定する。
  • この方法では畑面積の推定精度によって草地飼料畑面積の推定精度が決まる。検証した地域における畑面積の推定値と農業統計データの関係をみると、ほぼ1:1の直線上にプロットされ、寄与率は0.71~0.95の範囲である(表1)。誤差の要因は土地利用メッシュデータと農業統計データの調査年次の違い、農家居住地と利用地のずれなどが考えられる。
  • 図2に栃木県北部地域における草地飼料畑の面積別分布図を例示した。この方法で作成される1kmメッシュデータは国土数値情報の3次メッシュコードが付与されているので、既存の国土数値情報と重ね合わせた解析が可能である。

成果の活用面・留意点

  • 地形、土壌、気象など既存の国土数値情報と組み合わせることによって家畜ふん尿由来バイオマス資源量の分布図、環境負荷等の対策図の作成などに利用することができる。
  • 全国の1kmメッシュデータは整備中であるが、整備次第提供可能である。

具体的データ

図1 草地飼料畑面積を 推定する手順

 

表1 統計値と推定値の関係 図2 栃木県北部地域における草地飼料畑の面積別分布図

その他

  • 研究課題名:国土数値情報を利用した草地分布推定手法の開発
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2003~2004年度
  • 研究担当者:神山和則、佐々木寛幸、松浦庄司
  • 発表論文等:1) 神山ら(2003)日土肥誌 74:415-424.
                      2) 神山ら(2003)日土肥誌 74:425-433.