コンビニエンスストア残さを主体とする発酵リキッド飼料によるブタの肥育

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要約

コンビニエンスストアから排出される賞味期限切れ食品を分別しその成分値により残さを配合、加熱殺菌後、複合スターターを添加して発酵リキッド飼料を調製する。それを肥育後期の豚に給与すると、配合飼料に比較しても遜色ない増体を示し、筋内脂肪の多い豚肉を生産できる。

  • キーワード:ブタ、飼料利用、食品残さ、コンビニエンスストア、肥育
  • 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・飼料評価研究室
  • 連絡先:電話029-838-8648、電子メールtkawa@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

コンビニエンスストアから排出される賞味期限切れ等の食品は1店舗1日あたり十数キロと言われており、期限切れ直前もしくは直後に コールドチェーンで収集されることが多いにも関わらず、飼料化されているものはほとんどない。そのような残さは多様で、脂質を多く含むものもあり、全てを 混合すると飼料化は困難であるが、多様な残さを類型化して分別することで成分の変動も許容範囲に抑えることも可能となる。それぞれの成分値により適正な配 合を行い、混合して加水し、加熱殺菌後に微生物資材を添加して発酵リキッド飼料を調製し、それを豚に給与して肥育成績を調べる。

成果の内容・特徴

  • それらの食品を弁当のめし、弁当のそうざい、おにぎり、菓子パン、そうざいパン、和めん類(めんのみ)、スパゲティ(めんのみ)、サラダ、それ以外のそうざいに分別し、それぞれの成分を分析すると下記の3つに大別できる。
    炭水化物系素材:弁当めし、おにぎり、和・洋めん類(めんのみ)
    炭水化物+高脂質系素材:菓子パン
    高タンパク質+高脂質系素材:弁当そうざい、そうざい、そうざいパン、サラダ
  • 排出量の多い米飯、おにぎり、菓子パンを原料としてタンパク質源としては大豆粕とアルファルファミール、その他ミネラルとビタミン類を加えて配合設計する(表1、2)。
  • これらの原料に粘性を抑えるためαアミラーゼを添加し、加水、混合後、加熱殺菌(70°C、30分)する。そして冷却 後(約40°C)、ギ酸(0.05%)ならびに乳酸菌LQ80と枯草菌LQ13の複合スターターを添加して一晩発酵調製(30-40°C)を行うと良質な発酵 品質を示す(pH3.53、乳酸含量0.72%)発酵リキッド飼料が調製される。
  • 調製された発酵リキッド飼料をLWD交雑種の肥育後期豚に給与する。発酵リキッド飼料の嗜好性は良く制限給餌しても、産肉能力検定用飼料を飽食給与する対照区と同等の増体を示す。飼料要求率は低く、胸最長筋内脂肪含量は有意に高い(表3)。

成果の活用面・留意点

  • コンビニエンスストア残さ等からリキッド飼料製造を予定している飼料工場で本情報は活用される。
  • 弁当のおかず、そうざい、そうざいパン等、高タンパク質・高脂質の素材は乾燥後、脱脂して飼料化することが望ましい。
  • コールドチェーンで収集後、即座に分別して発酵調製することで素材の劣化を防ぐ。また、容器の混入がないよう適正な分別が求められる。

具体的データ

表1 発酵リキッド飼料の配合設計

 

表2 飼料中成分含量

 

表3 生産性と枝肉成績

 

その他

  • 研究課題名:食品残さの発酵リキッド飼料化システムの開発-有機性資源の飼料価値評価と迅速・簡便評価技術の開発
  • 予算区分:バイオリサイクル
  • 研究期間:2002∼2006年度
  • 研究担当者:川島知之、田島 清、大森英之、大塚舞、小橋有里、石田三佳、蔡 義民、守谷直子、三津本充、佐々木啓介、本山三知代、勝俣昌也