細断型ロールベーラで調製・長期貯蔵したトウモロコシサイレージの飼料特性と泌乳効果
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要約
細断型ロールベーラで調製したトウモロコシサイレージは、約1年間貯蔵しても発酵品質、各飼料成分消化率および栄養価が良好な状態で保存される。また、給与期間中の乳量の変動が少ない。
- キーワード:細断型ロールベーラ、トウモロコシ、サイレージ、ウシ、飼料特性、飼料利用
- 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・乳牛飼養研究室
- 連絡先:電話0287-37-7806、電子メールshioya@affrc.go.jp
- 区分:畜産草地
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
乳牛飼養においては、年間を通して一定品質の飼料を給与することが望ましいことから、長期の品質安定性が自給粗飼料を利用する上で
重要な課題である。一方、近年開発された細断型ロールベーラは、トウモロコシの収穫・調製の省力化を図れるだけでなく、高密度に梱包できることから、発酵
品質・栄養価の向上および貯蔵期間の長期化も期待できる。そこで、細断型ロールベーラで調製したロールベールサイレージを約1年間貯蔵し、飼料品質の安定
性を明らかにし、さらに、泌乳牛用飼料としての有用性を検証する。
成果の内容・特徴
- トウモロコシ(品種KD772;RM130)の播種日を3段階に変えて栽培した材料を用い、細断型ロールベーラで調
製したトウモロコシロールベールサイレージは、貯蔵48日で乳酸含量が1.5%に高まり、V-スコアが良好な発酵品質を示す。また、76日以降314日ま
で貯蔵しても乳酸含量がそのままで酢酸含量が減少し、V-スコアが100近い高品質で安定した発酵品質となる(表1)。
- 生育期間を107、118および129日で収穫したトウモロコシロールベールサイレージの飼料成分に、生育期間の影響はほとんど見られないが、129日のサイレージでNDF含量が多く、RVI(粗飼料価指数)が最も大きい(表2)。
- 約1年間貯蔵したサイレージにおいて、RVI、飼料成分、消化率およびTDN含量に貯蔵期間による大きな影響はみられず、細断型ロールベーラで調製されたトウモロコシロールベールサイレージは約1年間貯蔵してもほぼ一定の飼料成分および栄養価として利用できる(表2)。
- 細断型ロールベーラで調製したトウモロコシサイレージを主体としたTMRを泌乳牛に給与すると、イタリアンライグラスとアルファルファのサイレージ主体のTMR給与時に比べ、乳量の変動が少なく安定した乳生産が得られる(図1)。
成果の活用面・留意点
- 細断型ロールベーラを保有した農場における年間の飼料生産・給与計画に活用できる。
- 縦置き一段積みにして良好に保管管理されたロールベールサイレージにおける知見であり、本成果を活用するには、適確な保管方法が必要である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:細断型ロールベールのTMR混合特性を活用した高品質,高付加価値牛乳生産技術の開発
- 予算区分:ブラニチ3系
- 研究期間:2003∼2005年度
- 研究担当者:塩谷 繁、野中和久、西田武弘、額爾敦巴雅爾、松山裕城、細田謙次、小林良次、山田明央