離乳子豚に発酵乳を給与すると一日当たり飼料摂取量と増体量は向上する
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要約
余剰牛乳に乳酸菌を接種して発酵乳を調製し、それを離乳子豚に給与すると一日当たり飼料摂取量、増体量が著しく向上し、飼養成績が改善される。また、発酵乳の消化率も市販豚用人工乳に対して優れる。
- キーワード:家畜栄養、発酵乳、離乳子豚、消化率、ブタ
- 担当:畜産草地研・家畜生理栄養部・上席研究官、中小家畜代謝研究室
- 連絡先:電話029-838-8661、電子メールryozo@affrc.go.jp
- 区分:畜産草地
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
近年、食糧自給率向上を目指して様々な取り組みがなされており、そのうち未利用資源の有効利用も重要な課題の1つである。そこで、
賞味期限切れの牛乳や余剰牛乳等の有効利用を目的として、貯蔵性および消化性を改善するために乳酸菌によって発酵処理を行い、産生された発酵乳を離乳子豚
に給与してその飼料としての効果について検討を行う。
成果の内容・特徴
- 離乳子豚の糞便より分離されたLactobacillus
pluntarum E4.0 2-1株を85度、30分殺菌した牛乳に接種し、24時間発酵させると、pH4.3、生菌数9.9×107
CFU/mlを含有する発酵乳となる。
- 図1に示すとおり、増体量は試験開始1週目から発酵乳区が有意(P<0.05)に優れる。飼料摂取量も同様に発酵乳区が優れる。逆に飼料要求率は発酵乳区で高くなる。(表1)
- 乾物、粗蛋白質、粗脂肪の消化率はいずれも発酵乳区が優れ(P<0.01)、このことは給与した発酵乳そのものの消化率が極めて優れることを意味する。
成果の活用面・留意点
- 余剰牛乳および期限切れ牛乳が有効活用でき、食糧自給率向上に貢献できる。
- 発酵乳調製に用いた菌株は(独)農業生物資源研究所ジーンバンクに登録の予定である。
- 養豚現場で、牛乳を無殺菌の状態で容易に常に良好な発酵乳が生産できるかが残された問題である。
具体的データ


その他
- 研究課題名:食品残さの発酵リキッド飼料化システムの開発-給与システムの開発
- 予算区分:(バイオリサイクル)
- 研究期間:2002∼2004年度
- 研究担当者:高田良三、大塚誠、成田卓美、村上斉、石田藍子、勝俣昌也
- 発表論文等:
1) 大塚ら(2005) 日本養豚学会誌 42(2):54-60.
2) 大塚ら(2005) 関東畜産学会誌 55(2):81-85.