トウモロコシ細断ロールベールサイレージの抜き取り調査個数

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要約

トウモロコシ細断ロールベールサイレージは、1haの圃場で生産された全ベール(約80個)のうち設定された個数をランダムに抜き取り調査することにより、全ベールの乾物含量、粗蛋白質含量およびpHを使用目的に応じた精度で推定できる。

  • キーワード:細断型ロールベーラ、サイレージ、品質変動、品質評価、トウモロコシ
  • 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・資源循環研究チーム
  • 連絡先:電話0287-37-7004、電子メールkazuhisa@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

従来のロールベーラで調製したロールベールサイレージは、同一圃場で調製したものであってもベール間の品質変動が大きいため、飼料 設計や流通時の価格設定などに用いる栄養価や発酵品質の代表値を得ることが難しい。この品質変動要因として、牧草の生育むらや雑草混入むら、予乾むらなど が挙げられる。
一方、細断型ロールベーラで調製されたトウモロコシ細断ロールベールサイレージは、圃場内での生育が比較的均一なトウモロコシを予乾せずに細切し高密度 で梱包するため、ベール間の品質変動が小さくなり、数ベールの抜き取り調査を行えば同一圃場から生産された全ベールの品質を精度よく推定できる可能性があ る。
そこで、3圃場(各圃場約1ha)から生産されたトウモロコシ細断ベールサイレージを解体・縮分してサンプルを得た後、品質をそれぞれ調査して、それら全ベールの飼料成分・発酵品質の代表値を得るには何個のベールを抜き取り調査すればよいか検討する。

成果の内容・特徴

  • 黄熟期に収穫調製したトウモロコシ細断ロールベールサイレージは、乾物密度が230kg/m3以上と極めて高く、不良発酵の指標である酪酸が検出されず、全窒素中の揮発性塩基態窒素割合(VBN/TN比)が約7%と低い良質サイレージである(表1)。
  • 1haの圃場から生産できるトウモロコシ細断ロールベールサイレージの数を80個と仮定した場合、その80個から2 個以上のベールをランダムに抜き取り調査すれば、全ベールの乾物(DM)含量を測定値±2.0%の精度で(例えば2個の測定値の平均が30%のとき、全 ベールのDM含量は28∼32%の範囲にあると推定できる)、粗蛋白質(CP)含量も同様に測定値±1.0%の精度で推定できる(表2網掛け部)。
  • 上記2と同様に、1圃場から生産される全ベールから2個以上をランダムに抜き取り調査すれば、全ベールのpHを測定値±0.2の精度で推定できる(表3網掛け部)。

成果の活用面・留意点

  • トウモロコシ細断ロールベールサイレージを用いた飼料設計や流通時の価格設定のための品質調査に利用できる。
  • 中性デタージェント繊維(NDF)含量や乳酸含量のように、変動が大きく、数個の抜き取り調査では代表値の推定が実 用的に困難な成分がある。トウモロコシの生育に大きなばらつきのある圃場では再調査する必要がある。また、再現性を高めるため異なる母集団でのデータ蓄積 が必要である。

具体的データ

表1 トウモロコシ細断ロールベールサイレージの品質

 

表2 トウモロコシ細断ロールベールサイレージの精度別必要最小サンプリング個数
  (信頼幅95%)1)

 

表3 トウモロコシ細断ロールベールサイレージの精度別必要最小サンプリング個数(信頼幅95%)1)

 

その他

  • 研究課題名:細断型ロールベーラを活用したトウモロコシサイレージの生産・調製・利用システムの確立
  • 予算区分:委託プロ(ブラニチ3系)
  • 研究期間:2003∼2005年度
  • 研究担当者:野中和久、張 建国、小林良次、山田明央、重田一人、喜田環樹、松尾守展