アルファルファ収穫跡地における除草剤使用量の少ないトウモロコシ不耕起栽培法

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要約

前作をアルファルファとするトウモロコシの不耕起栽培において、不耕起播種直後に茎葉処理除草剤を条部に帯状に散布すると、標準散布量の40%でも慣行栽培(全面耕)と同程度の乾物収量が得られる。

  • キーワード:アルファルファ、帯状散布、茎葉処理除草剤、飼料作物、トウモロコシ
  • 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・資源循環研究チーム
  • 連絡先:電話0287-37-7004、電子メールryoji@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

酪肉近代化基本方針では、酪農での粗飼料自給率の目標を100%としている。これを実現するためには、TDN含量の高いトウモロコ シを増産するとともに、蛋白質源として現在は大部分を輸入に依存しているアルファルファを自給生産することが有効であり、これら2つの作物の作付方式とし てトウモロコシとアルファルファの輪作が考えられる。一方、トウモロコシの生産には多大な労力を要するため、省力的な栽培技術が求められており、さらに近 年は消費者の食への安全・安心指向が強まっていることから、トウモロコシ栽培時の除草剤使用量は収量を犠牲にしない範囲でできるだけ少ないことが望まし い。
そこで、省力的で除草剤使用量の少ないトウモロコシ・アルファルファ輪作体系を開発する一環として、アルファルファの収穫跡地におけるトウモロコシの不耕起栽培法、特に前作の再生草や雑草を適切に抑制するための除草剤の使用法について検討する。

成果の内容・特徴

  • 不耕起播種の直後に茎葉処理除草剤を条部分に帯状散布する方法(図1の4)は、土壌処理除草剤と茎葉処理除草剤を体系処理(それぞれ播種時、播種3週間後に散布)する全面耕栽培(2)や播種時に除草剤を全面に使用する一般的な不耕起栽培(3)より若干収量は低いが、慣行栽培(1)と同等の収量を示す。
  • 一方、除草剤を使わず、不耕起播種の3週間後に行った中耕のみで前作再生草等を抑制しようとした場合(図1の5)は、慣行栽培(1)よりも収量が低下する。
  • 安定した収量性を確保するには、不耕起播種直後に茎葉処理除草剤を条部分に帯状に散布する方法が適切である。その際の雑草と前作の再生草は、それぞれ60kg/10a前後と問題ないレベルである(図2)。
  • 具体的な手順としては、5月中旬にアルファルファ1番草を収穫し、トウモロコシの播種前にアルファルファの再生草をモア等で刈り払い、5月下旬に不耕起播種する。その際、標準濃度で希釈したニコスルフロンを散布幅約30cmで条部分に処理する(図3)。

成果の活用面・留意点

  • アルファルファを一年生として利用し、その収穫後のトウモロコシを不耕起で省力的に栽培したい場合に応用できる。
  • アルファルファを9月に播種し、翌年の春にトウモロコシを播種した結果である。

具体的データ

図1 前作の再生抑制方法が異なる不耕起栽培法の乾物収量(2005年)

 

図2 不耕起播種時に除草剤を帯状に散布する栽培法と慣行栽培法との乾物収量、雑草量および前作の再生草量の比較

 

柱(図1、図2)

 

図3 アルファルファ収穫跡でのトウモロコシの不耕起栽培の開発

 

その他

  • 研究課題名:省力・低投入型トウモロコシ-アルファルファ短期輪作体系の開発
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2004∼2005年度
  • 研究担当者:小林良次、山田明央、野中和久、沢村 篤、住田憲俊