茶飲料残さサイレージのルーメン内分解特性

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要約

緑茶飲料残さサイレージは、ルーメン内で大豆粕とアルファルファヘイキューブの中間的な分解特性を示す。乾物(DM)および粗蛋白 質(CP)の消失率は、浸漬24時間で82.0%と91.7%であり、ルーメン内通過速度定数(/h)を0.05と仮定した場合の有効分解度は、 66.7%と70.5%と推定される。

  • キーワード:緑茶飲料残さ、サイレージ、ウシ、ルーメン、分解特性、飼料利用
  • 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・乳牛飼養研究室
  • 連絡先:電話0287-37-7806、電子メールshioya@affrc.go.jp
  • 区分: 畜産草地
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

緑茶飲料残さに乳酸菌と繊維分解酵素を添加して調製したサイレージは、乾物中に可消化養分総量(TDN)を69.8%、可消化タン パク質を22.0%、可消化エネルギーを13.0MJ/kg、代謝エネルギーを10.7MJ/kg含み、コーンサイレージや牧草サイレージ等の一般サイ レージと異なり、濃厚飼料に近いものであることが明らかにされている。しかし、未利用の飼料資源を活用する場合、ルーメン内における分解特性についても明 らかにする必要がある。そこで、緑茶飲料残さサイレージのDMおよびCPの牛ルーメン内における分解特性を他の食品製造粕類等との比較から明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 緑茶飲料残さサイレージのルーメン内におけるDMおよびCPの消失率は、浸漬24時間でそれぞれ82.0%と91.7%である(図1)。
  • DMおよびCPのルーメン内分解パラメータは、易分解性区分割合a(%)が31.5と21.5、難分解性区分割合b(%)が54.9と75.6、b区分の分解速度定数c(/h)が0.089と0.092と推定される(表1)。
  • ルーメン内通過速度定数(/h)を0.05と仮定した時のDMおよびCPのルーメン内有効分解度は、それぞれ66.7%と70.5%である(表1)。
  • 緑茶飲料残さサイレージは、ルーメン内で大豆粕とアルファルファヘイキューブの中間的な分解特性を示す

成果の活用面・留意点

  • 緑茶飲料残さサイレージの給与において、ルーメン内分解率を考慮した飼料設計に活用できる。
  • 泌乳牛では、緑茶飲料残さサイレージの給与割合を飼料乾物で10%以上にすると、CP消化率が低下することがある。

具体的データ

図1 牛のルーメンにおける乾物(DM)および粗蛋白質(CP)消失率の推移

 

図1 牛のルーメンにおける乾物(DM)および粗蛋白質(CP)消失率の推移

 

その他

  • 研究課題名:茶系飲料残さの栄養価と機能性評価および給与技術の確立
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2002∼2005年度
  • 研究担当者:塩谷 繁、額爾敦巴雅爾、松山裕城、細田謙次、西田武弘
  • 発表論文等:額爾敦ら(2006)日畜会報77(1):77-81