家庭用デジタルビデオカメラを利用した麦の初期生育画像取得技術

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要約

画像情報と位置情報を利用した麦の植被状態を数値化するための、家庭用デジタルビデオカメラ(DV)とGPS等を組み合わせた画像取得技術である。画像の取得間隔は時間や距離に応じて設定でき、位置情報を利用した自動合成写真が作成できる。

  • キーワード:コムギ、作業、デジタルビデオカメラ、自動合成、画像処理、植被マップ
  • 担当:畜産草地研・飼料生産管理部・栽培工学研究室、上席研究官、作物栄養研究室
  • 連絡先:電話0287-37-7801、電子メールnsumida@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地、共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

小麦の追肥は全面同一設定に散布されており、環境負荷に配慮した栽培を考えるならば生育状況に応じた施肥を行う必要がある。小麦に おける植被率と生育・収量の関係についての検討が行われ、精密栽培管理を行うために栽培管理作業の中で手軽に植被マップを得られる技術が求められている。 一方、DVは急速に普及しており、画像取得装置として利用できる場面は多いと考えられる。
そこで、麦ふみ作業時にDVを利用して連続画像取得を行い、連続画像の自動合成や画像処理による植被マップの作成をねらいとした。

成果の内容・特徴

  • 本装置は、DV、ビデオボード搭載のパソコン、RTK-GPS(衛星と固定局から信号を受信して移動局によりリアルタイムで基線解析を行うGPS、水平精度1cm)、液晶モニタで構成される(図1)。画像情報は、DVによりminiDVテープに保存するとともにS端子接続でパソコンへ送信され記録する。位置情報は、RTK-GPSから画像取得位置をパソコンに送信、記録する。記録間隔は、作業速度に応じて変更可能である。
  • 作業者は、パソコンへ映像とGPSデータが送信されていることを液晶モニタにより確認しながら麦踏みセンシング作業 を行うことができ不具合が生じた場合に迅速な対応を取ることができる。取得画像はminiDVテープに記録されているため、不具合に気づかない場合にもロ ギングしたGPSデータを組み合わせて後処理による解析を行うことができる。
  • 画像取得は、アナログ出力をもつビデオカメラであれば可能である。
  • 取得画像合成プログラムは、位置情報により圃場端や旋回作業を行った位置を認識させ自動的に合成画像を作成する。得られた合成画像は、圃場内の作物の生育状況を確認する目的で利用できる(図2)。
  • 画像処理ソフト(D社製Image HyperIIを使用)により計測した値は、草丈×茎数に高い相関をもち(図3)、初期生育を表す指標として利用できる。50a圃場の情報を精密な生育管理に利用できる(図4)。

成果の活用面・留意点

  • センシングのための圃場侵入が許される場合には、他の作物の生育状況においても利用できる。開発したプログラムの一部は要請があれば提供できる。
  • 日照条件や対象作物の違いによる画像取得に問題はないが、画像処理を行う場合には、生育を表す指標と相関の高い処理を行う必要がある。

具体的データ

図1 麦の初期生育センシング装置の構成

 

図2 自動合成プログラムにより
作製した圃場写真

 

図3 (草丈)×(茎数)と
画像処理計測値の関係

 

図4 小麦の初期生育状況マップ

 

その他

  • 研究課題名:麦等の生育情報センシングによる生育診断技術の開発
  • 課題ID:12-06-04-*-20-05
  • 予算区分:精密畑作
  • 研究期間:2003~2007年度
  • 研究担当者:住田憲俊、澤村篤、井上秀彦、畠中哲哉、須永義人、江波戸宗大、川地太兵