アカマツ間伐林において牛に採食される樹種
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要約
アカマツ間伐林においては、針葉樹を除いて伐採跡に生育してくるほとんどの樹種が採食される。
- キーワード:放牧、ウシ、潅木、採食
- 担当:畜産草地研・草地生態部
- 連絡先:電話0287-36-0111、電子メールkano@affrc.go.jp
- 区分: 畜産草地
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
林地の放牧利用に際してどのような樹種が採食を受けるかを明らかにすることは、林地に生育する樹木の飼料資源としての評価に必要であるとともに、牧草等を導入して林地を草地化する場合には、放牧による樹木の抑圧効果を見積もることに役立つ。
林野植物に対する放牧家畜の採食性については、すでにいくつかの報告があるが、これらの報告に新たな情報を追加する。
成果の内容・特徴
- 関東北部のアカマツ林を間伐した4haの林地(樹齢90年のものを強度に間伐して10年経過)に黒毛和種繁殖牛3∼4頭を5月から10月まで放牧し、そこに生育する樹木の採食性を採食跡の有無と採食観察によって調査した。
- 調査地の下層の樹種構成は、樹冠被度にしてアカマツの幼樹、サワフタギが10%、ニガイチゴ、ガマズミが6%程度で、その他の樹種を含め樹木が約半分を占め、残りは野草地となっている。
- 有刺植物であるニガイチゴ、タラノキをはじめ、サワフタギ、ムラサキシキブ、ガマズミなど主要な潅木類はいずれも良く採食される(表)。
- サワグルミ、サンショウ、ヤマコウバシ、クロモジ、ニワトコ、コアジサイは採食を受けないが、可食植物がなくなる晩秋になって一部採食されることがある(表)。
- 針葉樹であるアカマツおよびモミの幼樹は採食を受けないが、これらに巻き付いたツル植物を採食する場合に、一部採食されることがある。
- 有毒植物であるレンゲツツジは採食されないが、ネジキは採食されることがある。
成果の活用面・留意点
- アカマツ間伐林あるいは伐採跡地を放牧利用する場合の飼料資源量の推定、放牧による雑潅木の抑圧に参考となる。
- 樹木の採食性は、樹木の他に飼料となる植物があるかどうかで大きく異なる。本成果は灌木地と野草地がほぼ半々の放牧地における結果である。
- 林野植物の採食性については林業試験場報告353号に「林野植物に対する放牧家畜の採食嗜好性」としてまとめられているので、参考にされたい。
具体的データ

その他
- 研究課題名:糞中播種による混牧林地への牧草導入
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2003∼2005年度
- 研究担当者:加納春平