サイレージ材料草の密度と内部を透過する超音波の伝搬速度は比例する

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要約

周波数63kHz、振幅150Vp-pの正弦波信号をもとに出力11W/cm2の超音波を発生させて円柱状に成型したサイレージ材料草に透過させると、超音波の伝搬速度は材料草の密度が高くなるにつれて直線的に増加する。

  • キーワード:牧草、サイレージ、密度、超音波、調製・飼養機械
  • 担当:畜産草地研・家畜生産管理部・調製工学研究室
  • 連絡先:電話0287-37-7803、電子メールmorinobu@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地、共通基盤・作業技術
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

サイレージ調製における材料草のサイロへの詰め込み作業では、十分な圧密を行いサイロ内部の密度を上げる必要がある。高密度でサイ レージ材料草を詰め込むには、詰め込み時の密度が高いかどうか非破壊で計測できることが望ましいが、サイレージ材料草の密度を非破壊で計測する有効な手法 はない。そこで、サイレージ材料草の密度を非破壊計測するため、超音波信号をサイレージ材料草の内部へ透過させ、密度との関係について検討する。

成果の内容・特徴

  • ファンクションジェネレータ、1対の超音波振動子、パワーアンプ及びオシロスコープ(図1)を用いてサイレージ材料草に超音波を入力し、透過した超音波を検出する。ファンクションジェネレータにより発生されパワーアンプで150Vp-pに増幅される63kHzの正弦波は、共振周波数63kHzの超音波振動子に印加され、振動面と接触する材料草に約11W/cm2の超音波信号が入力される。サイレージ材料草を透過した超音波信号は他方の超音波振動子によって受信され、オシロスコープに入力される。
  • サンプルは、平均切断長22mmで収穫されて2時間以上経過した水分のムラの少ない無予乾のサイレージ材料草を、一定気温の室内で円筒状のセルに詰め込んで成形される。
  • 超音波信号の伝搬速度は、超音波振動子に送信される超音波信号と他方の超音波振動子によって受信される超音波信号の立ち上がり時間の差から計算される(図2)。サンプルの密度が400∼950kg/m3の場合、63kHzの超音波の伝搬速度は800∼1300m/sである。
  • サンプルの密度が高いほど透過する超音波信号の伝搬速度は増加する(図3)。これより、材料草内部に超音波信号を透過させ伝搬速度を計測することにより、材料草の密度を推定できる。

成果の活用面・留意点

  • サイレージ材料草の詰め込み密度を推定するための基礎的な知見となる。
  • 超音波伝搬速度の計測に際して、水分や密度が既知の試料で校正を行う必要がある。
  • 同一温度条件下で水分が均質の小規模サンプルを用いた結果である。

具体的データ

図1 装置の概要

 

図2 超音波信号の伝搬速度算出方法

 

図3 超音波の伝搬速度と材料草の密度との関係

 

その他

  • 研究課題名:水平型サイロにおける牧草の密度判定技術の開発
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2004∼2005年度
  • 研究担当者:松尾守展、重田一人、喜田環樹