サイレージ用トウモロコシ系統の茎葉における乾物率との消化性との関係

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要約

サイレージ用トウモロコシでは、茎葉(OCC+Oa)含量が高い系統ほど茎葉乾物率が高い傾向があるため、育成系統における茎葉消化性の向上と茎葉乾物率の向上は両立できる。

  • キーワード:トウモロコシ、茎葉消化性、茎葉乾物率、飼料作物育種
  • 担当:畜産草地研・飼料作物開発部・ヘテロシス研究室
  • 連絡先:電話0287-37-7551、電子メールitoei@affrc.go.jp
  • 区分:畜産草地
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

近年普及が進められている細断型ロールベールでは、排汁やロール重量の低減のため、収穫されるトウモロコシの乾物率は高めであるこ とが望ましく、品種の育成や選定においても乾物率の重要性が高まっている。一方、現在育成されているトウモロコシの茎葉高消化性品種・系統は緑度保持に優 れることから、茎葉乾物率は低いと考えられている。そこでトウモロコシの系統及び品種の茎葉乾物率と茎葉消化性の関係を明らかにし、系統育成において両形 質の両立が可能かを明らかにすることを目的とした。

成果の内容・特徴

  • 高消化性を目的に育成中のトウモロコシのF1系統と標準品種(市販品種)を、絹糸抽出期後一定日数(各年の気温を勘 案しつつ黄熟期中期刈取りになるように設定)に刈取り、トウモロコシの茎葉乾物率を目的変数、酵素分析法による分画成分、倒伏個体率、病害罹病率等を説明 変数とする重回帰分析を行うと、茎葉中OCC、Oa、Ob含量、倒伏個体率および枯上り評点値を説明変数とする重回帰式が得られる(表1)。
  • 茎葉乾物率の向上に最も効果がある要因はOCC含量であり、年次が異なっても安定的に寄与している(表2)。
  • OCC含量の方が下葉枯程度評点値より茎葉乾物率に対する標準偏回帰係数は大きい。このため、茎葉高乾物率が高めのトウモロコシ系統の育成を図るには、茎葉枯上りを指標に選抜を図るより茎葉OCC含量の高い系統を選抜するほうが効果的である(表2)。
  • 茎葉OCC+Oa含量(現行の茎葉消化性の選抜指標)と茎葉乾物率との間には正の相関が認められ、茎葉消化性が高い系統・品種のほうが茎葉乾物率も高いことから、茎葉消化性と茎葉乾物率の向上は両立できる(図1)。

成果の活用面・留意点

  • 細断型ロールベール等の高乾物率が求められる用途に向く茎葉高消化性品種を育成するうえで活用できる。
  • 繊維高消化性系統の場合には茎葉消化性の向上が乾物率の向上に繋がらないことに留意する必要がある。

具体的データ

表1.茎葉乾物率についての重回帰

 

表2.茎葉乾物率についての標準偏回帰係数

 

図1.茎葉OCC+Oa含量と茎葉乾物率の相関 (2003年、n=40、畜草研)

 

その他

  • 研究課題名:温暖地向き茎葉高消化性トウモロコシF1品種の育成
  • 予算区分:委託プロ(ブラニチ3系)
  • 研究期間:2001∼2005年度
  • 研究担当者:伊東栄作、黄川田智洋、村木正則、大同久明