乾燥納豆給与による卵黄中のコレステロール低減
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要約
乾燥納豆粉末を産卵鶏の飼料に1~3%加えると、鶏卵の生産性を低下させることなく、鶏卵の卵黄中のコレステロールが低下する。
背景・ねらい
茨城県の特産品である納豆の生産・流通過程で生じる残りは、廃棄物として処理されることが多く、現在のところあまり有効に利用されていない。納豆は鶏に利用可能なエネルギーや蛋白質を多く含み、飼料原料となりうる未利用資源であると考えられる。また、近年の食品分野の機能性研究の進展から、様々な食品の機能性が解明され、納豆も機能性を持つ食品の1つとされている。納豆は鶏においても有用な機能性飼料素材となる可能性があるが、これまで、鶏における研究は少なく、鶏自体の健康との関連、鶏肉・鶏卵などの生産物への移行・影響などを検討した報告はほとんど見あたらない。本研究では、納豆の養鶏用飼料としての利用性を検討するとともに、鶏における納豆給与の効果の検討をすすめ、とくに鶏卵の卵黄中コレステロールの低減効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 166日齢の各区20羽のロードアイランドレッド(RIR)種の産卵鶏の飼料に60度で通風乾燥・粉砕し調製した粉末乾燥納豆を13週間にわたって、1~3%加えて飼養した結果、表1に示すように、産卵率、平均卵重、飼料摂取量、飼料要求率などの産卵成績に影響を及ぼさない。
- 試験終了時の、血液中のチオバルビツール過酸化物価(TBARS)、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)などの抗酸化の指標やトリグリセライド、総コレステロールなどの脂質代謝系には影響は見られない。
- 卵質検査では、ハウユニット、卵黄色、卵黄重などには納豆の影響は見られないが、卵黄中のコレステロールは納豆を与えた区で次第に減少していき、13週目には納豆を与える水準にしたがって卵黄中コレステロールが低くなり、3%区では20%以上の低下がみられる(図2)。
成果の活用面・留意点
- 納豆の残りが出る地域に隣接する低コレステロールたまごを生産する予定の養鶏業者において本情報は活用される。
- 納豆の乾燥・粉砕の方法の効率化など、実用化にあたって検討すべき点が若干残されている。
具体的データ



その他
- 研究課題名:食品残さや農産副産物の利用拡大と健康な家畜生産のための飼料調整、利用技術の開発
- 課題ID:212-i
- 予算区分:高度化(茨城養鶏)
- 研究期間:2004~2006年度
- 研究担当者:阿部啓之、山崎信、中島一喜、宮口右二(茨城大)、豊田淳(茨城大)、永山理恵(茨城大)、
中村豊(茨城大)、藤原謙一郎(茨城畜セ)、加藤由紀乃(茨城畜セ)、大林康信(茨城畜セ)、
御幡寿(茨城畜セ)、生井和夫(茨城畜セ)、礒政男(茨城畜セ)