ALS阻害型除草剤抵抗性を付与した組換え芝草用トールフェスク
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
イネ由来変異型アセト乳酸合成酵素(ALS)遺伝子を導入した組換え芝草用トールフェスクは、高濃度のALS阻害型除草剤に対して抵抗性を示す。
- キーワード:トールフェスク、遺伝子組換え、除草剤抵抗性、アセト乳酸合成酵素、飼料作物育種
- 担当:畜産草地研・飼料作物育種工学研究チーム
- 連絡先:電話0287-37-7690、電子メールwww-nilgs@naro.affrc.go.jp
- 区分:畜産草地
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
除草剤抵抗性作物を利用すれば、使用する除草剤や除草労力の軽減が期待できる。イネから単離された2点変異型ALS遺伝子は、ALS阻害型除草剤に対して抵抗性を示すので、植物由来の除草剤抵抗性遺伝子として利用できる(Osakabe et al. 2005)。また、ALS遺伝子は、哺乳動物には存在せず人や動物に作用しないため、人体に対する安全性が高いと考えられる。そこで、芝草として重要なトールフェスクに2点変異型ALS遺伝子を導入し、除草剤抵抗性を付与した安全性の高い組換え体を作出する。
成果の内容・特徴
- アグロバクテリウム法を用いて2点変異型ALS遺伝子を導入した組換えトールフェスクを作出できる(図1)。
- ALS阻害型除草剤を処理すると、非組換え体ではALS活性が低下するが、組換え体の中からは、除草剤を処理していない非組換え体と同等程度のALS活性を示す個体が得られる(図2)。
- ALS阻害型除草剤を通常使用量散布すると非組換え体は枯死するが、組換え体は2倍量散布しても抵抗性を示す(図3)。
成果の活用面・留意点
- 公園やゴルフ場等の緑化利用場面において、環境負荷を軽減できる芝草を開発するための育種素材として利用できる。
- ALS遺伝子は優性であり、組換え体は当代のため遺伝子型はヘテロである。
- カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターを植物由来のプロモーターに換えることで、さらに強い発現とPAに配慮した組換え体の作出が期待できる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:飼料作物の育種素材開発のためのDNAマーカー利用技術と遺伝子組換え技術の開発
- 課題ID:221-l
- 予算区分:基盤研究費
- 研究期間:2005~2006年度
- 研究担当者:佐藤広子、高溝正、清水力(クミアイ化学工業株式会社)、角康一郎(クミアイ化学工業株式会社)