豚Mx1遺伝子部分欠損多型とin vitroでのインフルエンザウイルス抑制能
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要約
一般にMx1プロテインは(-)鎖RNAウイルス増殖を抑制する。Mx1プロテインをコードする豚Mx1遺伝子にはいくつかのバリエーションがあり、一部の豚はMx1遺伝子の最終エクソンに11塩基の欠損を持ち、in vitroでは11塩基欠損型のMx1遺伝子は正常型に比べインフルエンザウイルス増殖を抑制する能力を大きく欠いている。
背景・ねらい
家畜の中には、種が保持している多様性として、遺伝的抗病性を保持している場合がある。近年、マウスを用いた研究からインフルエンザウイルスを含むミクソウイルス((-)鎖RNAウイルス)の増殖を抑制する遺伝子が発見されMx遺伝子と名づけられた。
豚品種の一部にはMx1遺伝子の第14エクソンに11塩基の欠損を持つ個体がいることから、豚のMx1遺伝子はインフルエンザウイルスの増殖抑制効果をもつか、また欠損型がインフルエンザウイルス増殖抑制効果を野生型と同様に持つかどうかをin vitroで調べ、抗病性遺伝子育種に資する有用な情報となるかを知ることとした。
成果の内容・特徴
- 梅山豚には、Mx1遺伝子の第13エクソンに3塩基の欠損を持つ個体が存在する。
- ブタMx1遺伝子の野生型、11塩基欠損型(図1)、またこれも自然に存在する3塩基欠損型を、さらに対照としてベクターのみをインフルエンザウイルス増殖抑制能を持たないマウス3T3細胞に導入し、インフルエンザウイルスA/Aichi(H3N2)の感染試験を行った。
- 11塩基欠損型ではベクターのみ導入とほぼ同じにウイルスが増殖し、インフルエンザ増殖抑制能を失っていることが分かった(図2)。
- 3塩基欠損型では野生型と同じようにウイルス増殖が殆ど無く、ウイルス増殖抑制能は失われていないことが分かった(図2)。
成果の活用面・留意点
- in vitroにおいて得られたインフルエンザウイルス増殖抑制効果について、in vivoでの検証が必要である。
具体的データ


その他
- 研究課題名:栄養素による遺伝子発現調節機能の解明
- 課題ID:221-m
- 予算区分:大学等発ベンチャー創出支援制度(文部科学省)
- 研究期間:2002~2004年度
- 研究担当者:中島恵美子,両角岳哉(STAFF),塚本健司(動衛研),Graham Plastow(PIC),三橋忠由
- 発表論文等:1) 特開2004-147507
2) Nakajima et al. (2007) Biochemical Genetics 2007 Jan 4; Epub ahead of print]
http://www.springerlink.com/content/lu4353718025627u/