食用油製造時に生じる廃白土の鶏用飼料としての有効性と排泄物からのアンモニア揮散低減効果
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要約
食用油製造時に生じる廃白土には脂肪が含まれており、鶏の飼料として1~5%程度配合することが可能である。さらに、排泄物からのアンモニア揮散量を低減する効果もある。
- キーワード:ニワトリ、飼料、廃白土、アンモニア揮散低減
- 担当:畜産草地研 機能性飼料研究チーム
- 連絡先:電話029-838-8657
- 区分:畜産草地
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
食用油製造時の脱色工程で使われる活性白土の使用後に生じる廃白土の飼料素材としての利用の検討を行う。廃白土は、現在、多くは
廃棄物として処理されており、油脂製造における問題の1つとなっている。廃白土は脂質を多く含む(30~40%)ので飼料としての価値があると思われるこ
と、また、吸着能を有する多孔質の構造を有するため、悪臭低減効果を持つ可能性がある。そこで、鶏の飼料としての評価と排泄物からの臭気発生の検討を行
う。
成果の内容・特徴
- 7日齢のニワトリヒナの飼料に各種の食用油(大豆、ナタネ、パーム、ヤシ)製造時の廃白土および未使用の活性白土を1%加え
て、28日間の飼養試験を実施すると、大豆油製造時の廃白土では増体量が低く、ナタネ油製造時の廃白土(ナタネ廃白土;粗脂肪含有量31.2%)を飼料に
加えた区の増体量が高い傾向が見られる(図1)。
- 最も飼養成績のすぐれていたナタネ廃白土をニワトリヒナの飼料に0~10%加えて廃白土中の粗脂肪の利用性の検討を酸化クロ
ムインデックス法で実施したところ、ナタネ廃白土に含まれる脂肪の利用率は94.8%と高い値を示し、廃白土に含まれる脂肪は栄養素として吸収され、利用
される。
- 12日齢のニワトリヒナにナタネ廃白土を0~20%与えて42日間飼養試験を行ったところ、ナタネ廃白土を0.5%と5%加えた区での増体成績が対照区よりすぐれている。また、20%加えると増体成績の低下がみられる(図2)。
- 同じヒナの42~47日齢と49~54日齢の排泄物(各区n=4~5)を集めて、臭気発生装置を使いアンモニア揮散量の測定を行ったところ、廃白土を飼料に加えることで、アンモニアの揮散量の低下がみられる(図3)。
成果の活用面・留意点
- 食用油製造業者において、大豆粕やナタネ粕などに一部配合して飼料素材として利用するのが現実的と考えられる。
- 油脂の酸化が問題となる可能性があり、廃白土の保存管理や配合方法などについて、一定の検討が必要と思われる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:食品残さや農産副産物等の利用拡大と健康な家畜生産のための飼料調製、利用技術の開発
- 課題ID:212-i
- 予算区分:基盤研究費
- 研究期間:2006~2008年度
- 研究担当者:阿部啓之、山崎信、中島一喜、村野賢博(日清オイリオ)、舩橋智子(日清オイリオ)、竹内弘幸(日清オイリオ)、斎田利典(日清オイリオ)