モウソウチクの飼料成分とサイレージ発酵品質

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要約

モウソウチク茎部には中性デタージェント繊維が乾物中約90%含まれ、これを粉末化した生竹粉に乳酸桿菌「畜草1号」と乳酸球菌RO50菌株を添加することにより良質なサイレージを調製できる。とくにRO50菌株の添加により遊離アミノ酸含量が増加する。

  • キーワード:モウソウチク、サイレージ、放置竹林
  • 担当:畜草研・機能性飼料研究チーム
  • 連絡先:電話0287-37-7804
  • 区分:畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

近年、日本の里山では放任モウソウチク林問題が発生している。竹林の放置化が進むと、山の植生、微生物・虫・動物などが単一化さ れ、自然生態系への悪影響も懸念されている。未利用資源である竹(モウソウチク)を畜産へ有効利用するには、飼料として良質かつ安定的に長期貯蔵できる技 術開発が必要である。
  本研究は、サイレージ調製用乳酸菌を利用し、高品質モウソウチクサイレージの調製・保存技術を検討するとともに、その飼料成分と発酵品質を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • モウソウチク茎部を竹粉製造機で粉末化した生竹粉の水分は40-48%であり、その飼料成分はモウソウチク葉部に比べ、粗タンパク質が低いが、中性デタージェント繊維が乾物中約90%含まれている(表1、図1)。
  • サイレージ発酵の適性に優れ、乳酸生成能が優れる乳酸桿菌(Lactobacillus planatarum)である「畜草1号」や、2種バクテリオシンを生産する乳酸球菌Lactococcus lactisである「R050株」を添加して生竹粉を密封貯蔵すると、pHが低く、乳酸含量に富む良質なサイレージが調製できる(図2)。
  • モウソウチクには各種遊離アミノ酸の生理活性物質が含まれ、とくにサイレージ発酵の過程において、RO50菌株の添加により鎮静効果や血圧降下などの効果があるガンマ-アミノ酪酸(GABA)が多く生産される(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 放置竹林の畜産への利用には有効な技術になる。
  • 反芻家畜への給与メニューについて検討する必要がある。

具体的データ

表1.モウソウチクの飼料成分

 

図1. 部位別のモウソウチク

 

図2.モウソウチクサイレージの発酵品質図3.モウソウチクサイレージの遊離アミノ酸

 

その他

  • 研究課題名:
    プロバイオティック乳酸菌を利用した飼料の調製加工技術の開発
    (モウソウチク由来の生理活性資材の開発とその応用に関する研究)
  • 課題ID:212-i
  • 予算区分:高度化事業
  • 研究期間:2006~2008年度
  • 研究担当者:蔡義民、上垣隆一、松井繁幸(静岡県中小家畜セ)、大谷利之(静岡県中小家畜セ)、岩澤敏幸(静岡県中小家畜セ)