テオシントの不定根形成能遺伝子を持つトウモロコシ準同質遺伝子系統
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要約
近縁種テオシントが持つ耐湿性に関係する不定根形成能を支配するQTLを導入したトウモロコシ準同質遺伝子系統は、湛水条件下での地表の不定根形成能が優れる。本系統は耐湿性トウモロコシの育種素材としての利用が期待できる。
- キーワード:耐湿性、トウモロコシ、テオシント、不定根、準同質遺伝子系統、QTL
- 担当:畜産草地研・飼料作物育種研究チーム
- 連絡先:電話0287-36-0111
- 区分:畜産草地
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
わが国のトウモロコシ栽培において湿害が深刻な問題となっておりトウモロコシの耐湿性の強化が強く望まれている。トウモロコシの
近縁種であるテオシントは耐湿性が強く,耐湿性育種を行う際の重要な遺伝資源と考えられる。そこで、テオシントの持つ耐湿性に関係する不定根形成能を支配
するQTLをトウモロコシに導入した準同質遺伝子系統を作出する。
成果の内容・特徴
- 本準同質遺伝子系統は、トウモロコシ自殖系統B64にテオシントZea mays ssp. huehuetenangensis の第5と第8染色体に座乗する不定根形成能を支配するQTLの候補領域(第5はbnlg1660-umc1747の約30cM、第8はumc1777-bnlg240の約20cM)を連続戻し交雑によって導入した系統(BC4F3世代)である。
- この系統は、B64と比較して、播種後2週間目の幼植物に地表から上3cmの湛水処理を行った際の地表の不定根形成能が優れ(図1)、特に湛水処理後の早い時期に明瞭な差異が見られる(表1、表2)。
- この系統は、B64と比較して湛水条件下における生育(地上部乾物重、節根乾物重)が優れる(表2)。
成果の活用面・留意点
- この系統は、耐湿性を持つトウモロコシ優良自殖系統作出のための育種素材として活用できる。
- この系統は、B64と比較して通常栽培(非湛水条件下)における生育も優れるため、QTLの領域以外のテオシントの染色体断片が含まれている可能性がある。
具体的データ


その他
- 研究課題名:粗飼料自給率向上のための高TDN収量のトウモロコシ、牧草等の品種育成
- 課題ID:212-c
- 予算区分:委託プロ(えさプロ)
- 研究期間:2006年度~2010年度
- 研究担当者:間野吉郎、黄川田智洋、伊東栄作、佐藤尚、高溝正
- 発表論文等:
1) 間野ら (2007) 根の研究16: 63
2) Kikawada et al. (2007) 9th Conference of the International Society for Plant Anaerobiosis p89