タンニンの添加により反すう家畜からのメタン産生を抑制できる
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
飼料中へタンニンを添加することでメタン産生は抑制されるが、縮合型タンニンでその効果は大きい。また、飼料への添加により反すう家畜からのメタン産生量の抑制が可能である。
- キーワード:メタン、タンニン、反すう家畜、山羊、抑制
- 担当:畜産草地研・畜産温暖化研究チーム
- 連絡先:電話029-838-8655
- 区分:畜産草地
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
反すう家畜の消化管内発酵により産生するメタンは温室効果ガスの一つであることから、多くに国において実用性の高いメタン産生抑
制技術の開発が求められている。タンニンは天然由来のポリフェノールであり、加水分解型と縮合型があるものの、タイプの違いがメタン産生量に及ぼす影響は
明らかでない。そこで、本研究はタンニンのタイプの違いによるメタン産生抑制効果を調べるとともに、タンニンを添加した飼料を山羊に給与してメタン産生抑
制効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 基礎飼料(乾物比でチモシー乾草65%、圧ペントウモロコシ20%、大豆粕15%)0.2gに、加水分解型タンニン(HT)
と縮合型タンニン(CT)の含量が異なる市販の6種類のタンニン0.2gをそれぞれ100mlのシリンジに入れ、培養液30mlを加えて39°Cで24時間
培養してメタン産生量を測定する(インビトロガス培養試験:畜産草地研究成果情報No.6 2006)。その結果、CTを含むタンニンを添加した場合での
メタン産生量は少ない(図1)。
- 上記の基礎飼料に縮合型を含むタンニン(図1の
No5)を0%、2.5%、5%添加した場合の日本在来種去勢山羊(平均体重35.4kg)のメタン産生量を開放式呼吸試験装置により測定する。その結
果、タンニン2.5%添加により蛋白質の消化率は低下するが、乾物や繊維の消化率は影響を受けずにメタン産生量は11.4%減少する。しかし、5%添加で
はメタン産生量は23.7%減少するが、全ての消化率が低下する(図2,図3)。
- 以上のことから、加水分解型に比べ縮合型タンニンでメタン産生抑制効果が大きく、飼料にタンニンを添加することで、生産性にほとんど影響することなく、メタン産生料の低減が可能である。
成果の活用面・留意点
- 比較的入手がし易いことから実用性の高い抑制物質として利用可能である。
- 山羊での試験結果であり、乳牛や肉用牛での適正添加量については別途検討が必要である。
- 植物由来のタンニンの中には嗜好性が低いものがあるため、本成果では嗜好性に問題がなかった縮合型タンニン(No.5)を用いている。
- 長期間給与のメタン産生抑制効果についても検討する必要がある。
具体的データ


その他
- 研究課題名:気候温暖化等環境変動に対応した農業生産管理技術の開発
- 課題ID:215-a
- 予算区分:環境省(環境総合)
- 研究期間:2003~2007年度
- 研究担当者:永西 修、R.Bhatta、田島 清、樋口浩二、野中最子、栗原光規
- 発表論文等: 1) R.Bhatta et al.(2007) Asian-Aust.J.Anim.Sci.20(7):1049-1056