分房別搾乳と分房別前搾りサンプリングを可能とする搾乳制御装置
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要約
電気伝導度計内蔵型ミルククローにより搾乳中の分房別乳汁流出状況を認識できる。ミルカの操作端末は、合乳流量の経時変化などの搾乳状況をグラフや数値で確認できる。分房別サンプリング装置は乳汁サンプルをボトルに自動サンプリングできる。
- キーワード:分房別搾乳、ミルカ、搾乳状況、合乳流量、電気伝導度、サンプリング
- 担当:畜産草地研・資源化システム研究チーム
- 代表連絡先:電話029-838-8678
- 区分:畜産草地、共通基盤・作業技術
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
通常のミルカ(搾乳装置)は、乳房ごとに流出状況が異なる場合においても一定の設定(拍動比、拍動回数)で稼働している。搾乳が終了した分房を搾乳し続ける過搾乳は、乳房炎の原因となり好ましくない。また作業者には、現在の搾乳時間や乳量の情報のみ表示される。そこで、前回までの搾乳情報(分房別の拍動比・搾乳時間)を元に牛ごと、分房ごとに拍動比が設定可能で、作業者に分房別のパルセーション状況や合乳流量等の搾乳状況をグラフなどで表示し、終了した分房は拍動を低く制御できる分房別搾乳制御装置と分房別前搾りサンプリングが可能な分析装置との連携により乳質情報が提示可能なシステムを開発する。
成果の内容・特徴
- 試作装置は、ミルキングパーラー用パイプラインミルカ上に設ける、各分房別パルセータ、クラスタ(電気伝導度計内蔵ミルククローも含む)、分房別サンプリング装置、自動離脱装置、制御基盤、操作端末、2台のミルクメータから構成される(図1)。
- ミルククローには電気伝導度計が内蔵されており、分房ごとに乳汁の流出状況(流出の有無と搾乳時間)が把握できる。これにより分房ごとの搾乳時間が計測可能である。搾乳が終了した分房のみ拍動比を低くすること(低拍動制御)が可能である(図2)。
- 分房別サンプリング装置は、パルセータとサンプルセル上下の弁を連動させて1分房ごとに前搾り乳をサンプルセルに採取できる(図3)。このとき採取した乳汁はセルに一時貯留させるため分析装置などとの連携が可能である。サンプルセル内の乳汁は、下方弁を開放することでボトルに採取可能である。前搾りサンプルは乳質・乳房炎の判定に使用することを想定し、結果は操作端末画面上に表示される(図4)。
- 操作端末では、搾乳操作をタッチパネルにより行い、現在および前回の搾乳量、搾乳時間、合乳の流量状況を画面上で確認できる(図4)。作業者がクラスタ装着前に乳房炎など異常乳と判断した場合には操作端末上から廃棄ラインに乳汁を分離できる。
- 拍動比例制御を行うためには、計算用基準データとして朝夕別に前回までの搾乳データ(分房別設定拍動比・搾乳時間)14回分を必要とする。拍動比例制御用の計算には飼養管理プログラムを用いる。飼養管理プログラムは、牛ごとの搾乳データや繁殖データ(分娩日、産次)を総合的に管理するもので、搾乳に関する項目としては、拍動比例制御のための計算、低拍動制御の有無の設定が可能である。
成果の活用面・留意点
- 搾乳の高精度化、ミルカ改良に貢献できる要素技術である。本試作装置は、畜産草地研究所、家畜改良センタ-にて通算6ヶ月程度、2セットを試験利用した。
- 本試作装置はミルキングパーラー用ミルカであり、他のシステム(ユニット搬送型ミルカなど)への適用には別途改良が必要である。
具体的データ




その他
- 研究課題名:家畜排せつ物の効率的処理・活用のための飼養管理システム及び資源化促進技術の総合的検証と新たな要素技術の開発
- 課題ID:214-t
- 予算区分:基盤、受託((社)畜産技術協会)
- 研究期間:2006-2008年度
- 研究担当者:石田三佳、本田善文、澤村篤、長谷川三喜、野中和久(以上、畜草研)、
青木康浩(家畜改良センター)岡谷利幸、北沢 淳、宮下芳行、細井研一、
岩崎博行(以上、オリオン機械(株))、北原慎一郎、菅原博道、村川伸一、
近藤琢磨(以上、北原電牧(株))