離乳子豚への乳酸菌添加発酵リキッド飼料の給与は薬剤耐性菌を減少させる
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要約
子豚用飼料にプロバイオティック乳酸菌Lactobacillus plantarum LQ80を添加して調製した発酵リキッド飼料を離乳子豚に給与すると、子豚用飼料をそのまま給与する子豚に比べて糞中のクロルテトラサイクリン耐性大腸菌が減少する。
- キーワード:発酵リキッド飼料、離乳子豚、乳酸菌、クロルテトラサイクリン耐性大腸菌
- 担当:畜産草地研・機能性飼料研究チーム
- 代表連絡先:電話029-838-8648
- 区分:畜産草地
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
薬剤耐性菌に対する不安から抗菌性飼料添加物の代替となる添加物などの技術開発が急務となっている。発酵リキッド飼料の給与は乳酸菌及び生成された乳酸による腸内フローラ改善効果があることが知られており、抗菌性飼料添加物の代替として期待されている。そこで、発酵リキッド飼料の給与が離乳子豚の糞中の薬剤耐性大腸菌に及ぼす影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- LWD交雑種の4週齢離乳子豚に、子豚用飼料(表1)もしくは同じ子豚用飼料に加水して乾物率30%とし、Lactobacillus plantarum LQ80で乳酸発酵させた発酵リキッド飼料を4週間給与する。
- 発酵リキッド飼料を給与する子豚(発酵区)では、子豚用飼料を加水せずそのまま給与する子豚(対照区)に比べて糞中の乳酸菌数が増加する傾向がある(P<0.1、図1)。また、小腸後部の大腸菌群数は少なくなり(P<0.05)、乳酸菌数は多くなる傾向を示す(P<0.1)。
- 発酵区の子豚の糞中大腸菌は、発酵リキッド飼料給与開始時に比べてクロルテトラサイクリン耐性の割合が22.2%にまで低下する(図2)。
- 発酵区の子豚でのクロルテトラサイクリン耐性大腸菌の減少は、テトラサイクリン耐性遺伝子の保有率の減少と関係がある(表2)。
- 以上のことから、プロバイオティック乳酸菌LQ80を用いて発酵調製した発酵リキッド飼料の給与は、離乳子豚の腸内フローラを変化させ、クロルテトラサイクリン耐性大腸菌を減少させる。その要因には、耐性遺伝子の保有率の減少が関わっている。
成果の活用面・留意点
- 抗菌性飼料添加物を用いない飼養条件での成果である。
- 発酵リキッド飼料の調製にはプロバイオティック乳酸菌LQ80を用いているが、現在まだ市販されていない。
具体的データ




その他
- 研究課題名:食品残さや農産副産物等の利用拡大と健康な家畜生産のための飼料調製、利用技術の開発
- 課題ID:212-i
- 予算区分:委託プロ(健全畜産)
- 研究期間:2005~2007年度
- 研究担当者:小橋有里、大森英之、田島清、川島知之
- 発表論文等:Kobashi Y. et al. (2008) Anaerobe 14(4) : 201-204